毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

重慶へ重慶麻辣火鍋を食べに行くの巻(その2)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220704.jpg重慶での一食めは重慶四川料理。これはウサギ肉の赤青トウガラシ&花山椒炒め。

 2013年3月23日、カラくてシビれる。

 前夜は飛行機が2時間遅れたせいで、重慶空港から連絡バスとタクシーを乗り継いで、新華路にあるホテル「重慶飯店」に入ったのは午前2時近く。そのときは深夜だったのであたりは静まりかえっていましたが、翌朝外に出てみてびっくり。ホテルの前の通りが人と車に埋め尽くされ、カオスが生じているではないですか。近くに大きい市場などもある繁華街らしく、たいへんな活気です。

 そこをなんとか車で抜け出し、長江と嘉陵江の合流点に半島のように突き出した渝中区の北岸、嘉陵江に沿ってしばらく走り、地下鉄2号線李子壩駅と佛図関駅の間らしいのですが、鵝峰公園の北側の絶壁に沿った細い道(嘉陵新路)へ入っていきます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220723.jpg ▲嘉陵新路という細い道。

 嘉陵新路は北側を見下ろすと嘉稜江、南側は鵝峰公園北辺の絶壁で、この絶壁には壁に張りつくようにしてアパートが密集して建っています。道の脇にところどころ狭いコンクリートの階段があり、これを上ると斜面に建つアパートへ行けるようです。

 と、案内してくれる友人が突如その階段の一つを上り始めました。えっ、えっ??ちょっとちょっと、僕たちこれから四川料理を食べに行くんじゃ?

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220659.jpg ▲絶壁を背に建つアパートたち。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220717.jpg ▲狭いコンクリートの階段を上って行く。

 人一人分の幅しかない狭くて急な階段を上っていくと、絶壁を背に、棚田のように張り出したテラスのようなフロアが何層かになっています。なんとここが食堂。嘉稜新路沿いには看板も何もないので、知らなければゼッタイに見つけられません。

 各層のテラスに簡単な屋根をかけ、テーブルと椅子を置き、オープンエアで風を受けながら四川料理が食べられるようになっています。下の方には、春になったばかりでまだ水量は少ないながら嘉稜江の流れが見下ろせ、重慶で今いちばん発展している対岸の江北エリアの眺めもなかなかです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220751.jpg ▲棚田のようなテラスにテーブル。嘉稜江越しに江北エリアが見える。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220735.jpg ▲オープンエアで四川料理を突く人々。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220727.jpg ▲道路(嘉稜新路)はかなり真下です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220739.jpg ▲テラスから眺める嘉稜江と江北エリア。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220744.jpg ▲嘉稜江嘉華大橋も見えています。

 我々もテーブルに就いて、料理の登場を待ちます。「中国四大ボイラー」の一つと言われるほど夏は暑い重慶ですが、この時期は暑くもなく寒くもなく、川を渡ってくる風が実に心地よい、今がベストシーズン。

 最初に配膳されたのは野菜のトウガラシ炒めと、牛の胃(たぶん)のラー油和えの冷菜。ラー油和えのほうには香菜(パクチーコリアンダー)がたっぷり山盛りです。どちらもすごくシンプルですが、トウガラシの風味が香り、胃を心地よく刺激します。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220755.jpg ▲野菜のトウガラシ炒め。シンプルだが香りバツグンでしゃきしゃきといくらでも食べられる。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220802.jpg ▲冷菜は牛の胃(たぶん)のラー油和え。胃が刺激されます。

 次はでっかい洗面器のようなステンレスの洗面器が(洗面器じゃないっつーの)運ばれてきました。なみなみとスープが入っています。これは地元の川魚を使った「烏魚花」。山椒を存分にきかせたスープで、花びらのように身に切り込みを入れた烏魚と呼ばれる川魚の切り身を煮込んだもので、この店では欠かせない一品。魚に臭みは一切なく、柔らかい身が淡泊でとてもおいしいです。鍋の底のほうには野菜もたっぷり入ってヘルシーでもあります。しかし、特筆すべきはこのスープのうまさ。山椒の香りがたちのぼり、口に含むとしびれるような山椒の味と酸味と塩味とが渾然一体となって、絶品。しかも食べれば食べるほど、山椒のシビレが強くなっていき、ますます止まらなくなります。白いごはんをお願いして、スープの中に入れ、雑炊のようにして何杯もおかわりしてしまいました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220808.jpg ▲この店のマストアイテム「烏魚花」。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220813.jpg ▲花のように開いた白身魚の切り身もうまいが、なんと言ってもこのスープがうまい。

 続いてこの店の看板料理(看板はどこにもないのだが(笑))が登場。なんとこの店、ウサギ肉料理が看板料理なんだそうです。ウサギ肉料理には「巴香兎」「水煮兎」「泡椒兎」「酸菜兎」などの調理法の料理があるそうですが、今回は大量の赤トウガラシ、青トウガラシ、花山椒で炒めた「巴香兎」を堪能。ウサギ肉というジビエの味わいもさることながら、このトウガラシや山椒の香りがやはり重慶ならではでしょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220708.jpg ▲大量の赤青トウガラシと花山椒がウレシイ。

 もう一品は、地鶏とジャガイモのラー油煮込み。こちらは山椒はほとんど使われておらず、トウガラシの風味一本で勝負。活きのいい地鶏を丸ごと一羽使った実にワイルドな料理です。

 この店では、ウサギにしろ地鶏にしろ、一組の客に対して一羽ずつ丸ごと使うので、できあがる料理は大量です。3、4人ではとても食べきることはできません。もちろん、食事が終わったらあとは全部お持ち帰りです。烏魚花のスープも持ち帰ります。実にワイルドな重慶料理、ぜひみなさんにも食べていただきたいです!

 あっ、お店の名前を書き忘れてました。嘉稜新路130号の「巴香苑」です。看板が出てないので店の名前では探し出せませんが(笑)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818220713.jpg ▲地鶏を丸ごと一羽使ったジャガイモとのラー油煮込み。いい味出てます。