新青森通過!(酷暑の夏休み帰省レポ・その41)
2012年8月18日、終点青森、午後。
弘前を出発した臨時寝台特急「日本海」の左側の車窓には、あおあおと育つ稲の向こうに津軽富士・岩木山。青空が広がる気持ちの良いお天気なのに岩木山のところにだけ雲がかかっていて、残念ながら全貌は望めません。
時間は弘前を出発してすぐに正午を迎えて、すでに午後に突入。かつて東京発着の九州ブルトレ華やかなりし頃は、終点に到着するのが午後になる列車も数多く走っていたでしょうが、今となっては午後までかかる夜行列車はこの臨時寝台特急「日本海」だけです。
臨時寝台特急「日本海」のおもしろいところは、北東北なんて相手にしない(笑)「トワイライトエクスプレス」は別として、すべての優等列車が停車する新青森駅に停車しないということ。定期列車時代より所要時間が大幅に長くなり、新幹線とは無縁ののんびり列車になったからでしょうか。東北新幹線新青森駅開業以来、この駅に停車せずに素通りするのは、僕も今回が初めての経験。のんびり列車がこの瞬間だけ「超優等列車」になったような気がしました。
▲新青森駅の新幹線駅舎が近づいてきて……、
▲そのまま停車せずに通過。停車しない列車は他に「トワイライトエクスプレス」だけ。
新青森駅を通過すると、終点は間近。左側から津軽線と青森車両センターへの出入り線が近づいてきて合流し、3線区間に入るとそろそろ最後の車内放送。時間は既に午後になっているので、青森駅での接続列車も、定期時代の「日本海」や「あけぼの」の到着時とは全然違う耳慣れぬ列車ばかりが案内されます。
12:42、真夏の最も気温が上がる時間帯にさしかかるころ、臨時寝台特急「日本海」は終点青森駅の5番線に到着しました。前夜大阪駅を出発したのが20:38でしたから、終点までの所要時間は16時間04分。定期列車時代よりも所要時間が長くなり、ますます乗りごたえのある列車になりました。上りだと18時間06分ですからさらに乗りごたえがあります。
▲寝台車は6両しかつないでいないので青森ベイブリッジの手前で停車。
このブログで同時連載している「ニッポンの秋を探して」でもレポートしてますが、昨年11月にまだ定期運行だった「日本海」に乗ったときは、寝台車10両+電源車1両+機関車というフル編成だったので、青森駅5番線いっぱいいっぱいに停まり、EF81の顔を拝むことができないくらいでした。しかし、臨時列車になってからの「日本海」は寝台車はたった6両となってしまったので、停車位置もずいぶん手前です。青森ベイブリッジにぎりぎりかかった感じでしょうか。
▲到着するとすぐ、作業員が機関車の切り離し作業。
▲作業員のOKが出ると、機関車は短く汽笛を鳴らして数メートルだけ前進して再び停車。
今回大阪から長駆1,023.4kmを牽引してきたのはローズピンクのEF81-107。昔ながらの変わらぬ姿を青森駅に見せてくれるのはうれしいことです。もし「日本海」が完全廃止になってしまったら、ローズピンクのEF81を青森駅構内で見ることはまったくできなくなるでしょう。
到着して寝台車のドアが開くと、すぐに機関車の切り離し作業が始まります。青森駅でのお約束です。作業員が手早くホースを外し、連結器を緩めたあと、機関士に合図を送ると、EF81-107は短い警笛とともにゆっくりと数メートル前進して再び停車します。
青森駅5番線ホームはまだ前方に半分近くも残っています。機関車の周りには鉄道ファンが大勢集まっていますが、ホーム前方は寂しいくらいに閑散としています。ホームに消えずに残った「連絡船」という文字がその寂しさをさらに際立たせます。
青森駅5番線ホームはまだ前方に半分近くも残っています。機関車の周りには鉄道ファンが大勢集まっていますが、ホーム前方は寂しいくらいに閑散としています。ホームに消えずに残った「連絡船」という文字がその寂しさをさらに際立たせます。
▲5番線前方には「連絡船」の文字がまだ消えずに残っています。