毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

定期列車だった頃。(ニッポンの秋を探して・その37)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818153322.jpg ▲夜も更けた富山駅6番線ホームに近づくヘッドライト。

 2011年11月7日、トワエク釜。

 富山空港から直行した富山駅4番線ホームから22:16に高岡行き気動車列車1470Dが発車して行ってまもなく、僕の待つ列車がヘッドライトを輝かせて6番線ホームに入ってきました。

 それは青森行きの4001レ寝台特急日本海」。このときが、僕が定期列車として走る「日本海」に乗った最後の機会となりました。

 まぶしいヘッドライトの奥にいたのは、「トワイライトエクスプレス」カラーのEF81-44。しかもこの日は、紅葉など秋の旅行シーズン対応のせいなのかなんなのか、寝台車10両+電源車1両+機関車1両のフル編成。富山駅でもホームいっぱいに停車します。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818153327.jpg富山駅6番線のホームいっぱいいっぱいに停車したフル編成の「日本海」。

 この日の僕の一夜の宿は9号車。いつもの標準編成なら6号車の次が9号車で、7号車と8号車は連結していませんが、この日はフル編成なので、6、7、8と飛ばさずに並んで9号車です。

 しかしこの9号車は喫煙車。B寝台が9両あってそのうち3両が喫煙車だなんて今どきどうよと思うんですが、それがJR西日本の方針のようです。通常編成ならB寝台7両のうちの3両が喫煙車ですよ。
 で、この日は禁煙車にはもう下段に空席がなかったんです。喫煙車なら下段に空席があると言われ、富山からの乗車ならもう夜もだいぶ遅いし、喫煙車でもタバコは気にならないだろうと思い、今回はやむを得ず喫煙車に乗車することにしたのですが、なかなかの乗車率のようで頼もしいです。

 9号車10番下段に落ち着いて検札を済ませ、寝支度を整えます。夕食は大分空港でたっぷり食べてきたので、「日本海」の車内では軽くビールを飲む程度。もう夜10時半近いので車内はほぼ寝静まっていて、客車がレールを刻む音が心地よい揺れとともに伝わってきます。富山を出て20分弱で魚津に停車。しかしホームに人影はなく、乗る人はいないようです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818153332.jpg ▲22:39、魚津に停車。外は暗い。

 魚津を出た寝台特急日本海」は、23:20糸魚川、23:50直江津(7分停車)、日付が変わって01:28新津(5分停車)、03:35鶴岡、そして酒田、羽後本荘と停車し、秋田には翌朝05:32に到着するというダイヤが組まれています。

 魚津を出た「日本海」の車窓の向こうには、糸魚川を経て直江津まで、日本海の見える風景が広がっているはずです。しかしもちろん窓外は闇が流れるばかりで日本海が実際に見えるわけではありません。

 フル編成ですが、我が9号車も下段はほとんど埋まっていて、既に多くの寝台のカーテンが閉じられています。日本海縦貫線を走り抜ける寝台特急日本海」の活躍に安堵しながら、僕も直江津到着を前に眠りに就くことにしましょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818153337.jpg ▲ほとんど埋まった下段の寝台には既にカーテンが引かれ、静かに時が流れています。