毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

がんばっていきまっしょい(酷暑の夏休み帰省レポ・その19)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164919.jpg ▲それでは、松山「ことり」の鍋焼きうどんをリフトアップ!

 2012年8月16日、おかわり!

 それでは、念願の松山「ことり」の鍋焼きうどんをいただきます!

 まずはつゆをズズズ……うん、うまい。色は薄いがだしはきいている。甘めだという人もいるようですが、僕にはちょうどいいし、西日本の人ならだしのきき具合が足りないと感じるかもしれないけれど、北日本人には十分。外は35℃超の猛暑。しかし夏でも食べたい「ことり」の鍋焼きうどん。大きめのいなりずしをサイドディッシュに、ずずず……ずるずる……ぱくぱく……ずずず……ずるずる……ぱくぱく……ずずず……うーーん、おいしい。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164928.jpg ▲そして完食。ごちそうさまでした~~。

 先客がいなかったので、こんな暑い日に鍋焼きうどんを食べにくる自分は酔狂者かとちょっと感じてたんですが、食べてる間に三世代家族連れが入店。松山では猛暑日でも家族で鍋焼きうどんを食べにくるんだとわかって、ほっと安心(^^)。

 そのご家族はいちばん奥のテーブルに腰掛けて、「5人だけど6つね、6つちょうだい」とオーダー。その声に触発されたのか、僕も「あ、すみません、もう一つ……」とおかわりをオーダーしてしまいました!わははは!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164932.jpg ▲二杯目、すぐに配膳。もちろん一杯目と中身は同じ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164936.jpg ▲二杯目にズームアップ!刻みあげが実においしい。

 アルマイト鍋で直接煮込まれたうどんは太めで、柔らかいです。

 ここで一つ疑問。愛媛県はうどん県を自称する香川県の隣県であり、松山駅構内「かけはし」のじゃこてんうどんを例に出すまでもなく、松山で食べるうどんも讃岐うどん圏内にあって、しこしことコシのあるうどんが普通であるように感じます。ではなぜ、「ことり」の鍋焼きうどんのような、コシがほとんどない柔らかいうどんの鍋焼きうどんを供する店が松山には多いのか?うーん、考えれば考えるほどわからない。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164939.jpg ▲二杯目に更にズームアップ。澄んだつゆに太くて柔らかい麺。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164943.jpg ▲澄んでいてもだしはちゃんときいてる甘めのつゆ。好みの味。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164953.jpg ▲刻みあげなどと並んで重要な脇役のなると。

 それでは二杯目を、ずずず……ずるずる……ずずず……ずるずる……ずずず……うーーん、二杯目もおいしい。これはかなり気に入ってきた。「ことり」の鍋焼きうどんを知ってから、どうして5年も来ずにいたんだろうな。無理してでも早く来ておけばよかった。松山には「ことり」と双璧を成す老舗鍋焼きうどん店「アサヒ」というお店もあるそうです。地図で見れば「ことり」と「アサヒ」は目と鼻の先。ハシゴができるじゃないか。これからは、松山に来たら、今までの空白の時を埋めるかのように、鍋焼きうどんをハシゴして食べまくりたい、そんな誓いをここ「ことり」で僕はたてたのであった。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818165000.jpg ▲そんなわけで二杯目も完食。ごちそうさま。

 二杯目を食べている間にも次なるお客さんが入ってきて、座敷のテーブルに陣取り、鍋焼きうどんをオーダー。そうなのだ。松山の人たちにとっては、夏だとか冬だとか、お盆だとかお盆でないとか、そんなことは関係ないのだ。中学校や高校の学校帰りとかに通って食べ続ける間に、きっと松山市民の生活サイクルの中に鍋焼きうどんが埋め込まれてしまっているのだ。なんかそんな気がしてきた。それが、アルマイト鍋で食べる松山の鍋焼きうどんなんですよ!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818165013.jpg ▲オーダーするのとどっちが早いかという早さでおばあちゃんが鍋焼きうどんを搬送。

 なぜ「ことり」の鍋焼きうどんを知ったかと言えば、これはもう、田中麗奈の初主演映画「がんばっていきまっしょい」ですね。

 映画は1998年公開ですが、僕が初めて見たのはDVDで2007年になってから。田中麗奈はともかく、磯村一路監督、周防正行製作、Lee-tzsche音楽、主題歌「オギヨディオラ」、そしてオール愛媛ロケのこの映画は、映像も音楽も、そしてストーリーも素晴らしく、万年予選落ちの運動部に入って、勝てなくて勝てなくて、大怪我もして、その怪我を克服して、くじけずに試合に臨んでいく姿が自分の中高生時代にぴったりと重なってしまって、何度見てもボロ泣きしてしまう映画なんです。

 この映画のワンシーンが、ここ「ことり」で撮影されているんですね。主人公の磯村悦子(田中麗奈)が、同じ高校に入っていながら入学以来それに気づかないでいた中学時代の同級生中崎敦子(清水真美)と再会するのがここなんです。そのシーンでは、田中麗奈も鍋焼きうどんをおかわりしてます!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818165005.jpg ▲店内には映画「がんばっていきまっしょい」のポスターも。

 だから僕は、「がんばっていきまっしょい」のロケに使われたこのお店に、どうしても来てみたかったんです。

 店内には、「がんばっていきまっしょい」のポスターがメニューと並んで貼ってあります。今、あの映画を観てこのお店を知って鍋焼きうどんを食べに来る人がどれぐらいいるかわからないけれど、この映画、ホントにみんなに観てほしい。人生に一回ぐらい、これぐらい一所懸命に、がむしゃらに、しゃかりきに、何かに向かって頑張るってことがあっていいと思うし、むしろ今の人たちへのメッセージとして、みんなに観てほしいなと思います。

 さあ、念願がかなって僕は大満足。「ことり」をあとにします。外の小路に出ると、猛暑の熱気が襲ってきます。この日も本当に暑い。ふと小路の奥を見ると「がんこ寿司」の看板。なんだ、「がんこ寿司」は「ことり」の並びだったのか~。今度松山に来たら、迷うことなく「ことり」に直行できるようにしっかり道を覚えておこう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818164922.jpg ▲大満足で「ことり」をあとに。この小路の奥に「がんこ寿司」があります。