ニッポンの秋を探して(その7;小倉のかしわめし)
▲小倉駅の名物駅弁「かしわめし」。これは北九州駅弁当株式会社製のもの。
10日間ほど一時帰国していたので記事のアップが遅れてしまい申し訳ありません。小倉駅での乗換えのところから連載を再開します。
2011年11月5日、小倉と言えばかしわめし。
小倉駅に12:56に到着した「のぞみ15号」から、13:09発の3023M特急「ソニック23号」、883系7両編成に乗り換えます。その前に新幹線コンコースに出ていたスタンドで購入したのが名物「かしわめし」。
883系車両の客室の真ん中にかつてあったセミコンパートボックス「センターブース」が現在は普通のリクライニングシートに換装されていますが、その関係でこの部分だけシートピッチが1,200mmとか1,300mmと超ワイドになってます。我々は「かしわめし」を抱えてこのお得なゆとり席に着席します。
883系の車内。
もう午後1時過ぎなので、「かしわめし」をさっそくオープンします。
二つ買ったそのどちらも「北九州駅弁当株式会社」製。同社は1891年(明治24年)創業の会社と1906年(明治39年)創業の会社が合併してできた会社だそうなので、元をたどれば120年という長い歴史がある駅弁です。まずは「伝承小倉のかしわめし」。同社の駅弁ではこれが最もポピュラーなもののようです。シート背面のテーブルを出してそこに置いて写真を撮ろうとしますが、シートピッチが広すぎて、テーブル面がとても遠い(T_T)。シートピッチが広いと駅弁をテーブルに置いて食べることができない。
「伝承小倉のかしわ飯」。
「伝承小倉のかしわ飯」のフタを開けると、その内容はかしわ飯、味付かしわ肉、鶏の唐揚、錦糸玉子、うぐいす豆、缶みかん、巻昆布煮、桜漬け、紅生姜、刻み海苔といったところ。かしわ飯の上にびっしり敷かれたかしわ肉、錦糸玉子、刻み海苔は見た目のインパクトも十分。特に味付かしわ肉はその色を見ただけでもおいしさが伝わってきます。
煮汁がしみてそう。
この地域では、複数のメーカーからたくさんの「かしわめし」が駅弁として売られているそうですが、中身の構成はだいたい決まっているようで、鶏のダシで炊き込んだご飯の上に甘辛く煮たかしわ肉、錦糸玉子、刻み海苔を斜めの線を描くように載せたスタイルが定番。ただ、かしわ肉は、九州北部では細かく刻んであり、九州南部はわりと大きな固まりで、山口県内あたりではそぼろになるのだとか。
そんなわけで、もう一つの「特製北九州名物かしわめし」も、フタを開けて見ると、中身は「伝承小倉のかしわめし」と基本的には違いはありません。
こちら特製です。
テーブル面が遠いよう。
「特製」のほうは「伝承」より150円高いのですが、内容はというと、かしわ飯、味付かしわ肉、焼き目のつくチキンステーキミニ、花豆、海苔巻卵焼、エビフライ、ひじきとくわいのサラダ、錦糸玉子、巻昆布煮、紅生姜、刻み海苔と、おかずが多少増えた程度で、肝心の「かしわめし」部分は、かしわ肉と錦糸玉子と刻み海苔の区切り方が違うぐらいで、あとはまったく同じです。鶏ダシで炊いたごはんも味付かしわ肉も風味豊かでとてもおいしく、「特製」も「伝承」も満足していただきました。
「特製」のフタをオープン。
こちらもおいしそう。
広いシートピッチの席で弁当をテーブルに置くこともままならず(笑)、手に持ってのんびり食べているうちに特急「ソニック23号」は南下を続けます。
小倉を出ると、行橋、宇島、中津、柳ヶ浦、宇佐、杵築、亀川、別府と、「ソニック23号」はこまめに停車していくタイプ。いったん海に寄り添い、国東半島で再び海が遠のいて、国東半島を抜けるとさらに海が近づいてきて、亀川、別府、大分とくねくねと細かくカーブを描きながら、列車は14:37、終点大分に到着しました。残念ながら、このあたりも雨のようです。
▲ぐずついた天気の大分に到着。隣は14:45発の3040M特急「ソニック40号」。