毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

初エティハドで秋のニッポン(その10;走り続けて44年)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011129.jpg ▲トワエク釜に紺色のトレインマーク、しぶすぎる。

 2011年10月3日、いつもの光景。

 終点青森駅に到着した寝台特急日本海」、次はお約束の儀式です。先頭の牽引機関車を切り離して、最後尾にひきあげ用のディーゼル機関車を連結するという作業です。もう三昔ほども前になっちゃうでしょうか、青森駅が客車列車全盛だった頃は、一日中その光景が見られたものですが、今では青森駅に入る客車列車は「日本海」「あけぼの」「はまなす」の3本だけとなってしまいました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011123.jpg 切り離されました。

 「日本海」の機関車は、到着後すぐに切り離され、すぐに海側の引き込み線へひきあげて行ってしまうので、写真を撮りたい人は注意が必要です。2号車あたりで降りてのんびり先頭へ歩いてくるなんてことをしてたら、機関車はもうそこにはいないでしょう。

 切り離されたトワエク釜のEF81-43は、数メートル進んでいったん停止。ここで、反対側(客車との連結面)にもヘッドマークが据え付けられているのがよく見えるようになります。EF81-43は夜になれば19:31発の上り「日本海」を牽引していくことになるから、いちいちヘッドマークを付け替える手間を省いているのですね。

 いったん停止したEF81-43は、係の人の合図で短く汽笛を鳴らし、海側へゆっくりとひきあげていきました。3番線には青い車体が残されて、機関車のモーター音が去ったホームにはただ静けさだけが残ります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011136.jpg 海側へ走り去るEF81-43。


 「特急」「日本海」「青森」。この行き先表示幕の表示がいとおしく見えます。「日本海」がブルートレイン寝台特急として走り始めたのは1968年のいわゆる「ヨン・サン・トオ」から。その後40年以上の長きにわたって、ひたすらに大阪~青森間を走り続けてきました。大阪駅のホームで「青森」の行き先表示を見かけた人たちは北国への旅情をかき立てられたことでしょう。この表示が、間もなく青森から姿を消そうとしています。いえ、完全な消滅というわけではないようですが、臨時列車化のあといずれはという思いがありますから、なおこの表示がいとおしいのです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011146.jpg 青森行き「日本海」、44年め。

 さて、牽引機関車を切り離している間に、最後尾ではひきあげ用のディーゼル機関車の連結作業が進んでいます。この日のひきあげ機は「青」「入1」のプレートを挿したDE10-1536。塗装は真新しく、新品同様の輝きを放っています。

 上のほうで「今では青森駅に入る客車列車は「日本海」「あけぼの」「はまなす」の3本だけ」と書きましたが、したがってこのDE10の出番もそれだけしかありません。青函連絡船華やかなりし頃は、連絡船の船体へ貨車を積み込む作業もこのDE10の仕事で、青森駅構内を夜昼問わずにひっきりなしに行ったり来たりしていたものです。それが今や1日3列車6本だけの出番とは……(涙)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011150.jpg DE10-1536連結完了。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011156.jpg りんごかあさんも健在。

 ひきあげを待つ「日本海」の隣の2番線には青い森鉄道701系が停車中。08:17に到着した八戸からの快速501Mの折り返し、08:54発の八戸行き快速504Mでしょう。そのさらに向こうの1番線には八戸色のキハ40系が見えてますね。08:40に到着した鮫からの普通列車422D/1525Dだと思われます。

 この記事を書いているのは新年明けて1月8日です。青森市内は珍しく雪の多いお正月になり、この3連休には積雪が最深で110cmまでなったとか。こりゃスゴイ。青森市内の積雪が1月初旬に1mを超えたのは2006年以来6年ぶりだそうです。

 青森駅跨線橋の上から眺めるこの景色も、今は深い雪に覆われているのでしょう。雪の青森駅に発着するブルートレイン、それはいわば冬の風物詩のような青森の街の風景の一つであり、青森駅から失われるべき風景ではないはずなのですが……。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011200.jpg 跨線橋の上から俯瞰する。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819011204.jpg ▲入れ替え用のDE10が活躍する場面は少なくなる一方。