中国を走る現役SLを訪ねる旅(その20;ついに走った!上游1395号機)
▲石炭の積み込みが終わって、いよいよ発車!
2011年6月12日、働くSL、走る。
無蓋貨車への石炭の積み込みが終わったようです。休憩小屋から機関士が出てきて、再び上游1395号に乗り込みます。
石炭積み込みの間は小休止していた上游1395号機が息を吹き返します。しゅっしゅっしゅっという音が大きくなり、足下から吹き出す白い蒸気が増えてきます。
発車準備は整ったか。
足下の蒸気だけでなく、上へ吐き上げる蒸気と煙突から出る黒煙も増えてきました。後ろに連なる無蓋貨車は石炭を満載しています。炭水車にもばっちり石炭を補充しました。全部合わせるとかなりの重量になっているはずです。さあ、発車の準備は整ったか。
汽笛一声!黒煙が天を衝く。
信号が青に変わったようです。
ぼーーーーっと汽笛一声、ひときわ高く黒煙が噴き上げられて、上游1395号がゆっくりと動き始めました。足下からの白い蒸気もひときわ激しく吹き出しています。ぼっぼっぼっぼっと蒸気機関車が動いています。ついに見ることができた。現役の働くSLです!
ゆっくり動き始めた。
近づいてきたぞ。
僕は、停車していた上游1395号のかなり前方、信号に近い位置を占めて、上游1395号が走ってくるのを待ち受けていました。地響きがするほどの「ぼっぼっぼっ、ぼーーーっ」音を鳴らして近づいてくる蒸気機関車は、車体がそれほど大きくない「上游」型でも、迫力満点です。満載の石炭もなんのその、しっかりとレールをとらえて、ゆっくりと目の前を通り過ぎていきます。動画でも記録できたらよかったのに……。
目の前を通り過ぎる。
青信号に向かって。
蒸気機関車は少しずつ速度を上げ、速度を上げると言っても引き込み線のようなものですからそれでもゆっくりと、僕の目の前を通り過ぎ、それに石炭を満載した無蓋貨車が続きます。
先頭の上游1395号機は、少しも力を緩める気配を見せず、ぼーーっという力強い音とともに黒煙を真上に吐き上げながら着実に走っていきます。走行距離はたいしたものではないでしょう。きっと10分も走るか走らないうちに阜新駅構内に到着してしまうのではないでしょうか。かつて本線を自由自在に疾駆していた「上游」型からすれば、ここ海州炭鉱での活躍は物足りないかもしれません。しかし、今や中国最後のSLとして、たとえ走行距離が短くとも、実際にそこを走ることができている上游1395号機は、幸運と言わざるを得ないでしょう。
上游1395号機、今もまだ元気に活躍しているでしょうか。それとももう引退してしまったでしょうか。いつかまた阜新市を訪れたとき、上游1395号機がまだ走っていてくれたらと願うのは、あるいはもう難しいのかもしれません。
石炭満載の貨車が続く。
▲再び吐き上げられる黒煙が徐々に遠ざかり、力を緩めず上游1395号機が走り去った。