中国を走る現役SLを訪ねる旅(その15;スチーム)
2011年6月12日、蒸気機関車が動いた。
遼寧省阜新市にある海州炭鉱の積み出し場に来ています。
ここでついに出会った現役活躍中の蒸気機関車「上游1395号機」は、カラの無蓋貨車を押して駅から戻ってきたばかりのようで、もちろんカマには火が入っていて、煙突と車側のパイプからはまだ盛んにスチームがあがっています。カマの最前部には「朱徳号」と記された赤いプレートと、朱徳元帥の肖像画が飾られていて、いかにも中華人民共和国のカマであります。
スチーム出てます。
おっと、ぼっ、ぼっ、ぼっ、という蒸気の音が大きくなってきました。動きそうです。熱い蒸気を吹きかけられそうで、あまり近づけません。
ぼっぼっぼっという音が速くなり、煙突から黒煙も吹き出し、蒸気がたっぷりと噴き出して、一瞬車体が蒸気にかき消されて見えなくなるほど。その蒸気の中で、上游1395号機がゆっくりと動きました。停車位置を調整するためでしょうか、ちょっとだけバックしました。ちょっと動いただけなのに、すごい迫力です。
黒煙も吹き出して。
あたりが蒸気に包まれる。
ちょこっと動いたときに出た蒸気はものすごい量で、本当に蒸気機関車本体が見えなくなるほど周りが真っ白になりました。この季節にこれほどなのだから、冬ならこの蒸気はどれほどに見えたでしょうか。冬になるとSLマニアの写真家が海外からやってくるというのもうなずけます。
上游1395号機は、少しバックして位置が定まったようで、再び静かになりました。これから無蓋貨車への石炭の積み込みが始まるのでしょう。
▲停車位置の調整を終えてほっとひと息。これから石炭の積み込みが始まる。