毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

中国を走る現役SLを訪ねる旅(その4;錦州南駅)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213505.jpg ▲錦州南駅に停車中の上海発長春行きのK516/K517次列車は普通の客車列車。

 2011年6月11日、雨の錦州南駅。

 さて、07:11に北京駅を出発したハルビン行き「和諧号」D25次列車は、北京市内や河北省内には高速鉄道用の専用線はないので、在来線ののろい列車や貨物列車をかき分けるようにしてわりとゆっくりと進みます。北京から終点ハルビンまでは1,243kmあり、ハルビン到着は15:19。所要8時間08分ですから、平均では時速150km以上は出ていることになります。途中停車駅は錦州南、瀋陽北、四平、そして長春だけです。

 専用線があるのは遼寧省に入ってからの秦皇島から瀋陽までで、この区間は激走します。いちばん速いときで250km/h弱まで出ているでしょうか。最初の停車駅・錦州南には10:05の到着。475kmを2時間54分かけて走って、表定速度は164km/hです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213453.jpg 雨の錦州南駅に到着。

 途中から雨が降り始め、錦州南駅に着く頃にはどしゃぶりに。北京は昨年10月以来ほとんど雨、雪が降らず、干ばつ状態が続いているので、こんなどしゃぶりに当たるのはすごい久しぶりです。ホームにはかろうじて屋根がかかっているので、なんとか雨をしのぎながらD25次列車を降り、その出発を見送ります。

 隣のホームには、D25次列車に追い越されるのを待っていた客車列車が停車していました。この区間高速鉄道専用線ですが、一部の停車駅の少ない客車長距離列車もこの専用線を走っているのです。
 客車列車のサボを見ると「上海-長春」となっています。上海発長春行きのK516/K517次列車です。上海~長春間は2,313kmあり、これを29時間52分かけて走ります。

 このK516/K517次列車、おもしろいのは、各停車駅で停車時間はほとんど4~8分程度で、2駅ほどで15分ぐらい停車するという程度なのに、なぜかこの錦州南駅でだけ、なんと50分も停車するのです。その間に何本もの「和諧号」に抜かれるのでしょうね。錦州南到着時点で上海を出てから既に24時間ぐらいが経過していますから、50分停車したところでどうってことはないのでしょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213458.jpg D25次列車を見送る。

 驚いたことに、錦州南駅には駅舎がありませんでした。高速鉄道が通ることになって、もともとの錦州駅とはまったく別の離れた所に新しく作られた駅なので、駅舎をゼロから建てているのか、それとも最初に建てた駅舎を全面建て替えしているのか判然としませんが、今はただの小屋のような仮駅舎があるだけで、そのせいでどしゃぶりの雨に降り込まれてしまいました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213518.jpg 小屋以下の仮駅舎。

 待合室はただ屋根を張っただけの地べたにベンチを置いてあるだけで、その片隅に改札口と切符売場があります。高速鉄道のために作られた新線の駅はどこでもそうですが、市街地からすごく離れた、もともと何もなかったような場所にあり、錦州南駅も例外ではありません。交通アクセスが悪く、ここに来るだけでも一苦労のはずです。もちろん道路整備もまだまだです。そんなわけで、錦州南駅周辺は、このどしゃぶりのせいで水没しかかっていて、舗装されていない道路はぬかるみ、仮駅舎から仮トイレまではどしゃぶりの中を突っ走っていかなければなりません。あいかわらずですが、中国のインフラ整備はバランスがとれてないんだな。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213509.jpg 屋根を張っただけの待合室。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213514.jpg ▲片隅に切符売場の狭い窓口が。立派な駅舎ができるのはいつのことかしら。