毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

春の帰省の旅日記(その2;頑張ろう東北)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235414.jpg羽田空港国内線第1ターミナルには太陽のアークがいっぱい。

 2011年4月16日、羽田空港国内線第1ターミナル。

 北京からのCA181便は定刻12:50羽田着のところ、けっこう早めに初体験のRWY22に着陸し、国際線ターミナルに到着しました。

 震災後の節電励行でターミナル内は明かりが消され、ほとんどを自然光に頼っていました。いつもと比べてちょっと暗いなあという程度で特に不便はありませんから、このまま節電することが当たり前になれたら、脱原発も現実性を帯びてくるかもしれません。

 前回北京から羽田に到着したときはJALの専用乗り継ぎバスを利用してみましたが、今回はコチラの記事で既にご紹介したとおり、初めて東京モノレール羽田空港国際線ビル駅を利用して、モノレールで国内線第1ターミナルへ移動しました。搭乗ゲートまで行くと、RWY34L/16Rをはさんで、真正面に先ほど到着したばかりの国際線ターミナルが見えます。


 さて、CA181便から乗り継ぐのは15:30発の青森行きJAL1207便。震災発生以降、東北新幹線の不通を受け、輸送力増強のため、1日6往復12便ある羽田~青森便はすべて引退したばかりのA300-600Rを復活させて充当し、その後も1日2往復4便をA300-600Rに担わせています。これから乗る1207便もA300-600Rでの運航で、2月いっぱいで青森線から引退し、もう二度と乗ることはあるまいと思っていたこの機材に再び乗ることができたのは思わぬ喜びです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235421.jpg A300-600Rに乗っちゃう。

 見慣れた機体、見慣れた内装、乗り慣れたシートのA300-600Rに乗って一路青森を目指します。この日の僕の席は主翼後方右側窓際の席で、窓からはA300-600Rの最大の特徴である主翼先端のウイングチップがよく見えます。

 機内は2×4×2の8列コンフィギュレーションで、オレンジ色など暖色系のシートが並んだ機内はまさに僕にとっては最もなじみ深いものです。この日の機材のレジはJA-016Dで、機内のテレビスクリーンはブラウン管式のものではなく、薄型液晶スクリーンを備えているので、ちょっとスマートです。東北新幹線が通じていないので、機内はほぼ満席ですね。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235427.jpg おなじみウイングチップ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235432.jpg 暖色系の機内はほぼ満席。

 離陸してしばらくは雲も少なく、地上の景色を概ね楽しむことができました。茨城県上空から福島市上空を経由して山形市上空へ抜ける間は、太平洋の沿岸地帯が遙か遠くに見えるのですが、目を凝らすと原発のような建物も見えたような気がします。原発事故のことが頭に植え付けられているのでそのように見えただけで、実際は清掃工場とか何かの製造工場だったのかもしれないけれど、海岸沿いに発つ煙突が何本もある箱形の建物は原発にしか見えませんでした……

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235438.jpg 福島市街地が見えた。

 北東北上空にさしかかる頃には眼下には厚い雲が広がり、完全な雲上飛行になりました。青森空港周辺は雨とのこと。この様子では、RWY24へのアプローチで陸奥湾上空をぐるりと旋回するときのすばらしい海の景色はまったく望めなさそうです。

 降下が始まり、まもなく雲の中に突入というときに、雲に落ちる1207便の影が見えました。影だけではなく、その周りに丸く暈がかかっています。こういう影の落ち方を機内から見るのって初めてですね。光りの織りなす自然現象、おもしろいものです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235442.jpg 雲に落ちる機影。

 降下しても降下しても地上が見えてきません。陸奥湾上空に出る頃には下が見えるだろうと思っていたのに、まったく見えてきません。旋回が終わってRWY24の延長線上に載ったと思われる頃になってもまだ地上が見えない。雲はそうとう低く垂れ込めています。青森空港は高台の上にあるので、雲がこんなに低いと視界不良で降りられないかもしれません。いや、青森空港はCATⅢだから視界がきかなくてもだいじょうぶか。

 ギアダウンの頃になってようやくちらほらと地上が見え、ほどなくしてなんとか無事に着陸しました。いやあ、危ないところでした。これでまた羽田引き返しなんてことになったらたまりません。

 青森空港は確かに雨模様。寒そうです。ブリッジを渡って飛行機を降り、到着ロビーへと階段を下りようとしてふと窓の外を見たら、到着したJAL1207便のコクピットの窓に何かが置かれているのが目に入りました。このときの様子は既にコチラの記事でご紹介済みですが、なんとコクピットには「頑張ろう東北」と書かれた日除けカバーのようなボードが置かれていたのです。

 JALも自社の再建にたいへんな時期だというのに、震災発生後すぐにA300-600Rという大型機を投入して輸送力を確保し、震災時の交通手段確保に尽力しただけでなく、クルーの被災地に対する温かい心遣いや励ましの心がこうして伝わってきて、僕は思わず立ち止まって、しばらくの間、この「頑張ろう東北」というボードを眺め続けました。東北人として、本当に頑張らなければなりません。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235447.jpg 青森空港は雨模様。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235453.jpg ▲到着したJAL1207便のコクピットには「頑張ろう東北」のボードが。