毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

一ノ関行きの「はやて」

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235302.jpgE2系の車側に表示された「一ノ関」の文字。

 2011年4月27日、震災ダイヤを目に焼き付ける。

 4月29日、東北新幹線が臨時ダイヤながら全線で運転を再開しました。

 前回の記事でもご紹介したとおり、全線運行再開の前々日の27日、八戸へ行く用事があったので、青い森鉄道と新幹線とどちらにするか悩んだ末、震災ダイヤを目に焼き付けておこうと思い、新幹線で行くことにしました。

 東北新幹線は一ノ関~仙台間の復旧に時間がかかったため、4月28日までは北側は新青森~一ノ関間のみの運行で、新青森口は1日10往復のみの震災ダイヤが敷かれていました。乗車したのは新青森20:03の一ノ関行き最終の「はやて516号」。このあとは21:48発の盛岡行き「はやて518号」の一本を残すのみで、「はやて516号」は一ノ関まで行ける最終列車ということになります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235228.jpg 新青森駅新幹線改札口。

 今回の震災ダイヤでは、全列車がグリーン車以外すべて自由席です。切符にも「乗車券・新幹線自由席特急券」と印字されています。これもある意味レアです。新青森発着の「はやて」は全列車が全区間で全車指定席で、新青森~盛岡間にのみ、空席があれば着席してよいという特定特急料金が設定されていて、その切符には「乗車券・新幹線特定特急券(立席)」と印字されているので、新青森駅~盛岡間を走る「はやて」で「新幹線自由席特急券」が発行されることはないのです。(運賃・料金はどちらも同じです。)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235317.jpg 「はやて」の自由席特急券

 11/12番ホームに上がると、「はやて516号」になるE2系が車内整備中で、乗客がホームドアの開くのを待っています。

 今回の発見は、ホームドアに「はやぶさ」の乗車案内ステッカーが貼られていたこと。黒地に白の斜字体にロゴマークはなかなかおしゃれでかっこいい。デビュー後わずか一週間足らずで震災に遭って運休となってしまった「はやぶさ」をこのホームドアはずっと待ち続けているわけですが、29日からは1日1往復だけですが「はやぶさ」が復活しましたので、この「はやぶさ」マークも喜んでいることでしょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235243.jpg 発車を待つ「はやて516号」。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235239.jpg ホームドアに「はやぶさ」マーク。

 1日10往復20本だけの運行ということで、新青森駅では列車の発着を11/12番線ホームに集約し、13/14番線ホームはまったく使わずに明かりを全部消し、節電に努めています。停まっている新幹線の隣のホームが真っ暗なのには慣れないこともあってちょっと戸惑いますが、今や東日本は節電の励行で夜になればどこも暗いですし、しかたありません。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235313.jpg 13/14番線ホームは完全消灯。

 やがてホームドアが開き、「はやて516号」の乗車が始まりました。グリーン車以外全車自由席なので、車側の案内LEDには「はやて 自由席」という文字が表示されます。しかし、通常ダイヤでも自由席車のある「はやて」は存在しますので、これはそれほど珍しい表示ではありませんね(新青森口では珍しい表示のうちに入りますかね。)。

 珍しいのは行き先表示です。一ノ関止まりの「はやて」はかつて存在したことがありませんので、E2系の車両の行き先表示に「一ノ関」の文字が現れるのは今回の震災ダイヤが初めてではないでしょうか。これも震災から生じた一つの爪痕のようなものですから、よく目に焼き付けておかなければなりません。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235248.jpg 「はやて 自由席」の表示。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235252.jpg 行き先表示は「一ノ関」。

 ホームでは40~50人程度の人が乗車を待っていたでしょうか。これらの人々はほとんどが4~6号車に収まってしまい、その他の車両には乗客がほとんどいません。最前部の1号車や2号車はまったくのカラで、僕は1号車に陣取りましたが、まったくもって貸し切り気分です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235308.jpg 1号車はがっらがら。

 20:03の定刻に発車した「はやて516号」は、漆黒の闇の中を疾駆します。盛岡まで車内販売があるということで、八戸までわずか28分ですが、ここは熱いコーヒーで一服です。

 七戸十和田駅に停車し、次がもう八戸。八戸には20:31の到着です。八戸駅のホームドアにも、1日1本しか停車しないというのに「はやぶさ」ステッカーが貼られていました。

 「はやて516号」は一ノ関行きの最終列車ということもあってか、八戸駅で下車した人はほんのわずかで、階段を上がった新幹線コンコースはひっそりとしていました。このあと盛岡行きが1本と新青森行きが2本残っていますが、コンコースの売店はシャッターを固く閉ざし、待合室で列車を待つ人もいません。震災から少しずつ復旧しながら活躍する「はやて」を見送って、僕は八戸駅で下車しました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235322.jpg 「はやて516号」八戸到着。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818235235.jpg ▲まだ夜8時半なのに人けがほとんど絶えた八戸駅新幹線コンコース。