毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

一等車のくせに。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212915.jpg ▲こんなにでかく造らなくてもいいのに……とため息が出そうな真新しい盤錦北駅。

 2011年4月10日、China Railway Highspeed。

 9日は瀋陽に一泊した僕は、翌10日朝、旧知の中国人に誘われて、渤海湾に面した盤錦という町へ行きました。盤錦はかつて日本が持ち込んだ米が今も特産になっていて、「盤錦大米」と言えば知らない者はないぐらいですが、僕が盤錦を訪れるのはこれが初めて。夏には北海道の能取湖でも有名な真っ赤なサンゴ草が海岸を埋め尽くすそうですが、今回はそれにはちょっと早かったのが残念。

 友人に盤錦市内を見せてもらい、お昼には、カニ、シャコ、ハマグリなど獲れたての新鮮な海産物をたっぷりごちそうしてもらい、別れ際には盤錦産の米ももらいました。見ると、包装箱には「一目惚米」と書いてあります。1992年に宮城県で生まれた「ひとめぼれ」が今は盤錦でも栽培されているのに驚きです。

 友人と別れてやってきたのは盤錦北駅。CRH(China Railway Highspeed)という高速鉄道が走る新しい線のほうにできた新しい駅です。田んぼのど真ん中にできた新しい駅舎は意味もなく巨大で、周囲の風景から思い切り浮いてます。駅前にも何もなく、とても便利とは言えない立地環境です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212936.jpg 駅周辺は田んぼばかり。

 盤錦北駅を発着する列車は上下合わせて1日21本。北京・上海と瀋陽北を結ぶ新幹線タイプの高速列車(いわゆる「D列車」)が上下7本停車するほか、客車を機関車が牽引するタイプで長距離を比較的高速で走る列車の一部がこちらの線を通り、この駅にも停車します。

 ホームは2面2線で、線路は4線走っています。中央の2線が本線で、両脇の2線にホームが付いていて、通過列車待ちができるようになっている構造です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212920.jpg 盤錦北駅の駅名標

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212927.jpg 通過線と停車線で計4線。

 僕がこれから乗るのは14:50発の瀋陽北発北京行きD6次列車。16両編成でやってくるはずで、僕が指定されたのは16号車なので、先頭車両ということになります。ホームの北京よりの端っこに近いところに「動車組停車位置」と書かれた標識が立っています。「動車組」というのが新幹線型の高速列車のことで、「動(Dong)」の頭文字を取って「D列車」と呼ばれているわけですが、その先頭の停車位置がここだというわけです。ホーム長にはまだ余裕があります。客車列車だと最長で20両編成ぐらいですから、ホームは余裕で600mぐらいありそうです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212931.jpg 動車組停車位置

 D6次列車が入ってきました。北京行きの「D列車」は8時台、14時台、19時台の1日3本しかないので、このD6次列車も、盤錦北駅からの利用客もかなり多いです。始発の瀋陽北からここ盤錦北まで154kmを51分かけてやってきた列車は、フランスのTGVを製造したアルストム社と提携して導入した「CRH5型」と呼ばれる車両で、1ユニット8両編成を2ユニットつなげた16両編成です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212940.jpg D6次列車、到着。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212946.jpg 静かに停車。

 僕が乗った16号車は一等座席車。日本で言えばグリーン車に当たります。日本の新幹線と同じで、二等車(普通車)は2×3人掛けシートですが、一等車は2×2人掛けシートです。シート番号は1番から通し番号になっているので、乗ってみないと自分の席が窓際なのかそうではないのかがわかりません。僕は34番席でしたが、これは通路側の席でした。

 なんとかシートに腰を落ち着けて、列車は盤錦北駅を発車します。車販のおねえさんがお盆にカップを載せて「コーヒーにミルクティーはいかがですかあ」とやってきます。コーヒーの値段を聞くと8元(=約100円)ということで、一杯注文。すると「ちょいお待ち」と言って、おねえさんはどこかへ行ってしまいました。しばらくすると戻ってきて「ハイどうぞ。熱いから気をつけてね」と紙コップをテーブルの上に置きました。インスタントコーヒーが入った紙コップを開封してお湯を注いできたようです。そのコーヒーはもちろん「三合一」、ミルクと砂糖も最初から入っちゃってる甘ーいコーヒーです。中国でもこれが普通です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212952.jpg 車販のコーヒー、8元。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818212956.jpg もちろんインスタントの「三合一」。

 さてこの一等車、一等車のくせに全然快適じゃありません。

 まず、窓の間隔とシートピッチがまったく合っていないので、2列に1列は窓がほとんどない席になります。せっかく外の天気はとてもよいのに、窓がないので外の様子がほとんど見えません。
 次に、一等車のくせにシートピッチが狭く、シート下に何か出っ張りがあることもあって足が十分に伸ばせない上に、圧迫感があります。フットレストはついていますが、フットレストを使うとますます窮屈になるので、とても使う気になれません。
 更に、中国人って落ち着きがないです。じっと座ってりゃいいのに、しょっちゅう席を立って通路を行き来するので、座っているこっちのほうまで落ち着きがなくなってしまいます。
 
 まあ2×2列シートなのでシート幅が多少は広く、背もたれも少しは深めにリクライニングするので、それでよしとしましょうか。ホント、さしこのくせにじゃないけど、一等車のくせにだよ、もう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818213003.jpg ▲一等車なんだけどどうも落ち着けないのはなぜだろう。