2011年お正月はニッポンで(その47;不便になった八戸駅)
2011年1月3日、八戸まで2,220円。
青い森鉄道が全線開業し、そこからすべての優等列車が消えた今、多少なりとも「優等」と呼べるのは快速列車しかなくなりました。しかし、JR車両で走る「リゾートあすなろ」と「しもきた」を除いて、青い森鉄道だけが走らせる快速列車は701系電車の2両編成で、停車駅もかつての「(スーパー)白鳥」「つがる」に比べて増えたので、特に観光客誘致に結びつくような「優等」列車はやはり姿を消してしまったと言わざるを得ません。
野辺地駅に停車。
かつて、ほぼすべての特急が停まっていた野辺地駅も、駅名標はすっかり青い森鉄道のものに変わり、普通列車と快速列車だけが行き来する駅になってしまいました。東北新幹線全線開業の恩恵から最も遠いエリアであるとも言えましょう。
まだ正月三が日、年始休暇の最中なので、車内に乗客は少なく、紫色のロングシートは空席ばかり。八戸市内へ遊びや買い物へ出るにもまだ時間が少々早いのか、八戸が近づいてきても車内はあまり混む気配はありません。
車内は空いてました。
野辺地を出ると、上北町、三沢、下田と停まって、10:10、終点八戸到着です。12月3日までは、北高岩駅を指す矢印だけが青い森鉄道の薄水色だった八戸駅ホームの駅名標は、全部薄水色に変わっていました。到着したのは5番線ですが、駅名標からは八戸線長苗代駅を指す矢印はなくなり、北高岩駅と陸奥市川駅を指す矢印だけになってしまったようで、JRの緑色の出番はありません。八戸線の列車は1番線、2番線のほうに特化されたのでしょう。
5番線は新幹線にいちばん近いので、ホームからは新幹線ホームに停まっているE2系の姿が見えます。ちょうど停まっていたのは10:11発の東京行き「はやて350号」でしょうか。1月2日と3日だけ運転の、「こまち」とは併結しない臨時の「はやて」です。新幹線の始発終着駅だった八戸駅も、今では途中駅の一つになってしまいました。
八戸到着。「はやて」が見える。
薄水色ばかりの駅名標。
それは、在来線と新幹線との乗り換え改札口の閉鎖です。
12月3日までは、ここには東京、上野、仙台などと同じように、新幹線と在来線を乗り換えるための自動改札機が数台設けられていました。しかし、今やその改札機は撤去され、柵がぴったりと閉じられて、行き来ができなくなっていて、その柵の手前には「新幹線に乗換えのお客さまへ 青い森鉄道改札口を出まして、出口左側にお進みください 青い森鉄道駅長」という掲示が出ています。
つまり、八戸駅で新幹線と在来線を乗り換える人は、必ずいったん改札から外へ出なければならなくなったのです。盛岡駅のJRとIGRいわて銀河鉄道の乗換え方に似ていますが、八戸駅のさらに不便なところは、JR八戸線で久慈、鮫、本八戸方面からやってきた人も、同じJRの新幹線に乗り換えるのにいったん外へ出なければならないことです。
閉鎖された乗換え口。
JR在来線とJR新幹線と青い森鉄道が混在するところで間違いなく切符をチェックしたり精算を行うことができるシステムがないからというのが乗換え口閉鎖の理由だそうです。東北新幹線が全線開業して便利になった速くなったと皆言いますが、これで本当に「便利になった」のでしょうか?僕には以前より不便になったとしか思えません。しかも、それはJRが在来線を切り捨てたから生じた不便です。まあもっとも、かつて八戸駅が「はやて」の終点だった頃は、在来線特急との乗り換えで非常に多くの乗客が乗換え口を通っていましたが、新幹線の途中駅となってしまった八戸駅で乗換えする人はがくんと減ってしまったので、乗換え口がなくてもちっとも困らないのかもしれませんが……
▲かつては短いときには8分ぐらいの乗換え時間に集中して大勢の乗換え客がここを行き来していた。