毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

【社説】舞い戻ったA300-600R

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193456.jpg青森空港の展望デッキからは、まるでいつものようにA300-600Rが眺められた。

 2011年3月15日、青森空港

 震災の被害が少しずつ明らかになるにつれて途方に暮れるばかりな上に、人災とも言うべき福島第一原発放射能洩れに計画停電による首都圏の混乱、そしてとうとう静岡東部で震度6強。結末は富士山噴火ではないかと冗談ではなく感じながら、今夜、北京へ戻ってきました。

 なんとか青森へ帰りはしたものの、今度は青森を出られなくなり、方々に連絡をして、いったんは羽田行きのJALと成田発のCAがとれそうになりましたが、計画停電や余震によって成田空港へのアクセスが困難になっているようだったので東京経由を放棄し、ダメ元で当たってみたら新千歳発北京行きのCAが取れたので、急遽青森から新千歳へ向かうことにしました。

 青函トンネルが全面運休になっているので、JALは青森~新千歳間に臨時便を4便飛ばしていて、定期便の3便と合わせて1日7便というフリークエンシーを確保。僕も今日15日の朝いちの便である09:45発の臨時便JAL4952便の席を確保できました。

 9時頃青森空港へ行ってみると、チェックインカウンターはそれなりの混雑。秋田空港大館能代空港花巻空港が閉鎖されたままなので、青森空港を拠点に動こうとしている人も多いのかもしれません。

 そして、青森~羽田便は臨時便の設定はありませんが、その代わり昨14日から、輸送量を増やすために1日6便のうち5便に、先月末に同路線から引退し近く全機退役を迎えるA300-600Rが投入されたのです。青森線引退のときに日本に居合わせられなかった僕にとっては、震災が原因なので素直には喜べないけれど、再び青森空港A300-600Rに会うことができて感無量です。

 そう思って展望デッキに上がると、いましたいました!08:45にJAL1201便として到着し、09:25発のJAL1202便として折り返すA300-600Rです!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193500.jpg 後ろは災害支援で離陸したヘリ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193505.jpg 見慣れた顔だ。

 時刻表によれば、青森行きは最終便のJAL1211便、羽田行きは朝いちのJAL1200便の1往復を除く5往復がA300-600Rで運航されています。3月からはMD-90B737-800で運航されるようになったこの路線は、A300-600Rの復活で1便あたりの座席数が倍に増え、少しでも移動の足を確保したい災害緊急時の輸送に対応しようとするJALのがんばりが感じられます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193513.jpg 1202便の搭乗ゲート。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193517.jpg これもなじみの顔ですな。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193522.jpg いつまでも来てほしいのだが。

 さて、僕のほうはと言うと、札幌便はすべてボンバルディアCRJ200になってしまい、オープンスポットに駐機するので、中国の空港なら絶対歩かせるに違いない距離をブリッジ下からバスで移動です。

 そのバスの発車を待っている間に、羽田行きのJAL1201便はプッシュバックを終え、出発の準備が整いました。この日のこの便のレジはJA-016Dを付けていますね。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193528.jpg プッシュバック完了。

 JAL1201便は、プッシュバックを終えると、ゆっくりとRWY24へと向かっていきました。この日の青森は低く雲が垂れ込めた曇り空。それでも八甲田山は姿を見せていて、JA-016Dを付けたA300-600Rはゆっくりと八甲田山の前を横切り、左に札幌行きのJAL4952便を見ながらRWY24エンドへ行き、穏やかに離陸していきました。未曾有の大震災が与えてくれたA300-600R復活の舞台は、被災地と向き合いながらのつらく厳しいものもあるけれど、青森に舞い戻ったA300-600Rには精一杯にその使命を果たしてほしいと思います。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193539.jpg A300-600RとCRJ200。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818193534.jpg ▲曇天ながら姿を見せた八甲田山の前をゆっくりとRWY24エンドへ向かうJA-016D。