毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

2011年お正月はニッポンで(その34;臼杵港出港)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818145759.jpg九四オレンジフェリーの新造船「おれんじ九州」。

 2010年12月28日、豊後水道を渡る。

 上臼杵で降りたはいいものの、JRのダイヤが乱れるほどの強風というのが気になります。このあと臼杵港から八幡浜港行きのフェリーに乗る予定だからです。JRが乱れているのならフェリーはなおさらではないでしょうか。

 心配になった僕は、上臼杵駅の駅員さんにフェリー埠頭の電話番号を尋ねました。すると駅員さんは親切にも自ら電話をかけて尋ねてくれました。それによればフェリーは平常どおり運航しているとのこと。まずは一安心です。

 しかし、臼杵は大分以上に風が強く、しかも時折雨が交じり、強風で傘を差すのも難儀で歩くのが容易でない。寒さもけっこうきてます。
 もともとの計画では、上臼杵駅から「二王座歴史の道」などを抜けてフェリー埠頭まで歩くつもりでいましたが、この天気ではとてもそんな気になれない。臼杵の観光情報発信基地「サーラ・デ・うすき」までなんとかたどり着き、そこで人心地ついてからタクシーを呼んで一気にフェリー埠頭へと移動しちゃいました。映画「なごり雪」の舞台・臼杵にはまた時を改めて再訪することにしよう。

 そんなわけで、予定よりだいぶ早くフェリー埠頭に来ることができました。予定では18:30発の宇和島運輸フェリーで八幡浜へ向かうことにしていましたが、これでは17:30発の九四オレンジフェリー205便に間に合います。八幡浜到着後松山まで移動することにしている僕にはこれはありがたい。さっそく205便の乗船券を求めます。

 雨は上がりましたが、どんよりとした曇りの上に、冬至を過ぎたばかりの日の短い時期とあって、あたりはすでに薄暗くなっています。そこへ、17:00着の九四オレンジフェリー105便がゆっくりと入ってきました。上臼杵駅で訊いてもらったとおり、定刻で運航されているようです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818145803.jpg 向きを変え、バックで入港。

 これだけ大きな船が、乗客と搭載車両を入れ替えて30分で折り返せるというのですから、たいしたものです。

 僕は、17:10頃、案内放送が流れたのを受けて桟橋へと進み、据え付けられたブリッジから船内へと入ります。車両の搭載にはもうしばらく時間がかかるようです。

 この日は、四国方面からスポーツの試合で遠征に来ていた高校生の団体が少しありましたが、全体として乗客は少なく、船内は寂しいぐらいに空いています。2等船室のカーペット敷きの一角に荷物を置いて、まずは甲板に出ます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818145809.jpg ここから乗船。

 暮れ色が濃くなってきました。臼杵から津久見に連なる山陰が黒く港まで迫っています。甲板から見下ろすと、右のほうにはフェリーのりばの建物と、そこからつながる長い屋根付きの通路、そして九四フェリーと宇和島運輸が使うそれぞれのブリッジなどが見えます。左のほうにはずっと奥まで入り込んだ岸壁の先にドックのクレーンが見えています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818145818.jpg 甲板から右を眺める。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818145815.jpg 奥のほうはドックですか。

 八幡浜行き九四オレンジフェリー205便は、定刻17:30に臼杵港の岸壁を離れました。臼杵八幡浜を結ぶこの航路には何度か乗ったことがありますが、ここ数年は機会がなかったので久しぶりの船旅です。

 今回乗船したのは2007年7月3日に就航したばかりの「おれんじ九州」。総トン数2,924トン、航海速力19.85ノット、旅客定員485名、乗用車37台、8トン積トラック37台が積載可能な、かなり大きな船舶です。そして最大の特徴は、船底にフィンスタビライザーを装備していて、波の高いときなどにこれを稼働させて揺れを抑えることができるそうです。ただ、この日は風は強いものの、波はそれほど高くなかったらしく、乗降船口には「本日はフィンスタビライザーは使用しておりません」という掲示が出ていました。

 臼杵港のフェリーのりばで仕入れた弁当と、船内売店で求めたじゃこ天うどんで、試合帰りの高校生たちに混じって簡単な夕食にします。「おれんじ九州」は闇の中を順調に航行します。八幡浜までは所要2時間20分、19:50到着の予定です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818145822.jpg ▲甲板後方、一対の煙突の向こうにほんのり夕焼け色の空。