2011年お正月はニッポンで(その26;温泉を飲む)
▲「神の水」が湧き、温泉も湧く長湯温泉湯乃原天満社。
2010年12月27日、水と温泉。
ラムネ温泉で温まって、来た道を引き返してくると、橋のすぐ先に神社があります。「湯乃原天満社」です。広く大きな神社ではありませんが、境内に犬の散歩で来ている人がいたりして、のどかなことこの上なし。
境内の一角に、「神の水」が湧いています。久住連山に降った雨水が悠久の時と経て伏流水となってここに湧き出したもので、だれでも自由にこの「神の水」を汲み、飲むことができます。丸長旅館さんでも、夕食後客室に寝具を敷いたあとには「神の水」を入れたポットを客室に備えてくれます。ただ、今回聞いたら、ここから出る水の量がずいぶん減ったので、最近は同じ水が湧いている別の場所へ汲みに行くようにしているとのことでした。
「神の水」が湧いている。
最近は湧出量が減ったとか。
「神の水」の隣には、小さなお堂の形をした「陽光院 薬泉堂」があります。ここではぬるめの炭酸泉がちょろちょろと出ており、散歩の途中などに立ち寄って気軽に飲泉を楽しむことができます。日本にはあまり飲泉文化はないような気がしますが、ドイツなどでは「飲泉は野菜を食べるのと同じ」と言われるほどで、その効果はお墨付きです。
陽光院薬泉堂。
ぬるめの炭酸泉が湧く。
さて、橋を渡って少し道なりに進み、バス通りのほうへ向かう坂の上り口をそのまままっすぐ川沿いに通り過ぎてしばらく行くと、「御前湯」があります。ここも長湯温泉の定番スポットで、公共浴場としては最大の施設です。建物の外観もドイツ風と言っていいでしょうかね。
ここにも玄関前に飲泉場があり、蛇口から流れる炭酸泉を竹で作った湯呑み杓子で飲むことができます。玄関を入ると券売機があり、ここで入場券を買って中に入ります。1階と3階が浴場になっていて、男女が日替わりです。この日は男性が3階でした。
ラムネ温泉、御前湯と温泉のハシゴです。たっぷり浸かったあとの風呂上がりは、2階の畳敷きの広間や隣の喫茶室などでくつろぐことができます。広間からはオープンエアのテラスに出ることができ、すっかり温まった身体を涼風にさらして涼むこともできます。テラスからは、真下を流れる芹川と、芹川沿いに軒を連ねる長湯温泉街を遠望することができます。
御前湯のテラスから。
真下を芹川が流れる。
温泉をハシゴしてすっかり脂の抜けた僕は、ふらふらとのんびり歩いて宿へ戻りました。6時半の夕食まで部屋で休憩です。青森よりは日の長いこちらも12月末ではさすがにすぐに日暮れがやってきます。午後6時を回ってすっかり暗くなった窓の外を、芹川がざわざわと音をたてて流れています。川べりに立つ建物や街灯の明かりが川面に落ちて輝いています。心の底からほっとする風呂上がりのひとときです。
窓の外を芹川が流れる。
▲窓の外を右方向へ見遣れば、ラムネ温泉のほうが見渡せます。