北京駅を行き交う列車たち（その1）

▲東南角楼の城壁の上からは北京駅構内が遠望できます。

　8月22日の散歩レポのつづきです。

　北京市に残る内城の城壁や角楼を訪れたのは、「鉄」とまったく関係ないことではありません。というか、「鉄」を求めて角楼へ行ったようなものです。

　実はこの城壁の上からは、北京駅の構内がよく見えるのです。2つの時計台を持つ駅舎の裏側とホームにかかる丸い屋根が見渡せます。ホームの端っこのほうや入線している列車も見えます。そして、城壁の真ん前を、8面14線に広がる線路が徐々に集約され、5、6本にまとまりながら東へとのびています。

北京駅の裏手が見える。

　角楼の上へ上ってみましょう。角楼は3階まで上ることができますが、かなり高い位置になります。かつて弓矢用の銃眼として穿たれた穴は今は窓としてガラスがはめこまれ、しかも二重窓なので、そとの景色はあまりよく見えませんが、東側の窓から見下ろすと、線路がずっとのびていっているのが見えます。ちょうど走り去る列車が見えました。もちろん客車の長大編成です。角楼の前を通り過ぎると大きく右へカーブして南へ進行方向を変えます。いったいどこ行きの列車なのでしょうか。

角楼3階窓からの東側の眺め。

どこ行きの列車かなあ。

　角楼を下りて城壁の上まで戻ります。

　目の前が線路なので、どんな列車がやってくるかわくわくしながら待ちます。

　まず東側からやってきたのは、クリーム色とブルーに塗り分けられた「東方4型」ディーゼル機関車DF4-5291号機に牽かれた客車列車。機関車の後の連なるのは昔ながらの緑の鉄板の客車。最近少なくなってきたので緑の客車が見られると妙にうれしい。サボは「北京－張家口」とあるので、北京12:40着の4416次列車であると思われます。

　北京駅のほうから近づいてきたのは、見たことのない機関車、ボディーに「KUA YUE」と文字が入っています。「跨越」、飛び越えるという意味ですね。機関車の後には直後の1両だけは緑色ですが、あとはホワイトの客車がずらりと並び、北京駅へ到着する4416次列車とすれちがっていきます。

DF4-5291号機関車。

北京を発着する列車が行き違う。

　「KUA YUE」と描かれた機関車は「東風11G型」ディーゼル機関車。2004年の第5次大提速（スピードアップ）に備えて2003年に登場した2両永久連結方式ディーゼル機関車で、最高速度は170km/hだそうです。第5次大提速のスローガンが「中国鉄路的跨越式発展」だったことから「跨越（KUA YUE)」という愛称がつけられたのだとか。

　後ろに連なっているホワイトの客車も見たことがありません。やはり第5次大提速のときに登場した25T型客車だそうです。床下をスカートで覆うボディマウント方式が採用され、長距離を長時間無停車で走るZ列車に充当されていましたが、最近はランクが下の列車種別でも運用されるようになっているとのことです。今回見かけた列車のサボには「北京－北戴河」とあり、2010年7月出版の時刻表には掲載されていませんが、北京12:50発のT5697列車であると思われます。北戴河までの277kmをノンストップで走るようです。

25T型客車のアップ。

▲北京発北戴河行きT5697次列車がゆっくりと走り去っていった。