毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

高句麗のふるさと五女山を訪ねて(その6;ダム放水)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818211240.jpg ▲大雨で水位が上がり、放水を始めた桓仁ダム。水煙があがる。

 2010年8月1日、桓仁ダム。

 そんなわけで世界遺産女山の頂上を遊歩道に沿ってぐるりと散策しています。

 頂上付近には、高句麗の最も初期の頃の建物跡などの遺跡が残っています。「一号大型建築基址」は長さ13.5m、幅5mで、7つの礎石があり、陶製の縦長耳付き壺などが出土しており、高句麗初期の王宮の址ではないかと推測されています。この付近には住居とおぼしき址がかたまって出土しているところもあり、2000年以上前の高句麗の人々の営みが垣間見えるようです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818211227.jpg 王宮跡か。一号大型建築基址。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818211231.jpg 案内板も整備されてます。

 いくつかの建築物の址の脇をすり抜けると、先ほどの展望台とは反対側のこれまた小さめの展望台に出ます。眼下には桓仁ダムのダム湖が広がっています。さっきの展望台からは五女山の南側、ダム湖から流れ出た渾江が蛇行しながら桓仁の町を抜けていくのが見えましたが、こちらの展望台からは五女山の東側が見えます。五女山の東側は入り組んだ形のダム湖と濃緑の山々が連なっています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818211221.jpg女山の東側はダム湖と山々。

 その展望台の右手下にはダムが見えます。桓仁ダムです。そのダムの右側に水煙が上がっているのがはっきり見えます。昨夜から放水を始めたのだそうです。

 この夏は中国全土で深刻な水害が起きていて、甘粛省甘南チベット族自治州舟曲県で8日未明に起きた地滑りでは多数の死者行方不明者が出ています。主に中国南部で起きていた水害は今では全土に広がっており、ふだん雨の少ない中国東北地方でも被害が出ています。特に吉林省がたいへんらしいです。

 僕が五女山に行ったこのときも、前日の7月1日は一日中強い雨が降り続き、ダムの水位がかなり上がったため、放水が決断されたとのことでした。水煙をあげて放水されるのは見ていて気持ちいいし、できればもっと接近して眺めたいぐらいですが、事態は深刻です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818211245.jpg 放水された水が川を下る。

 とは言え、五女山の帰りに見かけたところでは、ダムに生息していた魚たちが放水と一緒に川に放流されたので、川の下流では庶民たちが至るところで川に繰り出して魚とりにいそしみ、かなりでかい魚が道ばたにずらりと並べられて、売られてました。すぐ商売しちゃうところがさすが中国人です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818211236.jpg ▲桓仁の町を渾江が蛇行して流れながら抜けていく。