高句麗のふるさと五女山を訪ねて(その2;なぜかアイスワイン)
2010年7月31日、田舎の葡萄酒工場。
特産と言ってもたいしたことはないっちゃあたいしたことないんですが、アイスワインが特産です。カナダのMilan Wineryの資本が入り、圧搾機などの生産ラインはイタリアから導入した「遼寧五女山米蘭酒業有限公司(Liaoning Wunvshan Milan Winery Co.,Ltd.)」で、アイスワインが作られているのです。
工場があるのは県の中心部からはずれ、五女山の麓へ向かってしばらく走っていったあたり。降りしきる雨の中にたたずむ工場の建物群はまだかなり新しい感じがします。もともとは60年近い酒造会社だったのに、2001年になってカナダの資本が入り、それからアイスワインの原料となるヴィダル種のブドウの苗を持ち込んで栽培と生産を始めたということですから、歴史はまだまだほんのわずかです。
まだ新しい生産棟。
創業まだ10年足らず。
工場棟の間には狭いながらもブドウ畑があります。もちろん見学用ですが、のぞいてみると、まだ真っ青だけれども房としての形ができつつあるブドウの実がなっていました。これからやがてこれが濃い紫色に色づいていくのでしょう。
このワイナリーでは、アイスワイン用ブドウ畑とヤマブドウの畑をそれぞれ5,000畝(約333ha)ずつの畑を有しているそうです。
このワイナリーでは、アイスワイン用ブドウ畑とヤマブドウの畑をそれぞれ5,000畝(約333ha)ずつの畑を有しているそうです。
工場敷地にあるブドウ畑。
もうだいぶ房になってます。
圧搾工程や瓶詰め工程、貯蔵樽の保管場所などを見学し、原液の試飲などをしたあと、製品の試飲兼販売所へ入ります。これまた新しく、立派な建物です。入り口から入った正面には、看板商品であるアイスワインの瓶の巨大な模型が両側に飾られた受付デスクがあり、その右手には商品の展示、試飲、販売コーナーが広がっています。中国人好みのきらびやかな造りで、「お、なんかスゴそうなものが並んでるな」と思わせるのに十分です(^^ゞ。
試飲販売棟のレセプション。
きらびやかな展示コーナー。
ここのウリはなんといってもアイスワイン。と言っても赤と白の1種類ずつしかないんですが。
値段は高いです。375ml入りの細長いボトルで白が一本198元(=約2,800円)。赤の値段はちょっと忘れちゃいましたが、白よりかなり高くて、たぶん298元(=約4,200円)ぐらい。他の製品に比べてずば抜けて高い。他の製品は、ヤマブドウを使った、ワインというよりはブドウ液と呼んだほうがふさわしい素朴なものが多く、しかも多くが加糖されています。赤玉パンチ的です。加糖していないドライなものは渋みが強く、ブドウ畑の農民が家で密造してドンブリで飲んでそうな感じ。そして他の製品はとにかく安い。1本15元とか19元とか26元とか。アイスワインの味はまあまあですが、まだまだ遼寧省内の市場、ましてや全国の市場にはまだまだ打っては出られない、田舎の小さなワイン工場です。
こちらアイスワインの赤。
展示室にうやうやしく飾ってあるボトルがありました。「貴重 さわるな」という注意の看板も出ています。琥珀色の液体の入った、妙にカーブがなまめかしいボトル。でも値段もついています。2本で3,668元、ということは1本1,834元、なんと日本円で約2万6千円です。洞窟の中に貯蔵されていた年代物のアイスワインのようです。年代物と言っても最初のブドウが来たのは2001年なんだから、たいしたものではありません。なのにこの値段とは。
試飲コーナーではほとんどの製品を試してみることができます。かわいいおねえさんたちがそこそこ愛想良く相手をしてくれます。アイスワインは値段が高いので、試飲でも10元かかります。
田舎の小さなワイン工場、カナダの資本やイタリアの技術が入ったとは言え、成長するにはまだまだ時間がかかりそうです。気長に見守ってあげるのがよいでしょう。みなさんも、もし世界遺産五女山に行かれることがあったら、ぜひ立ち寄って様子を見てあげてくださいね(^^)。
田舎の小さなワイン工場、カナダの資本やイタリアの技術が入ったとは言え、成長するにはまだまだ時間がかかりそうです。気長に見守ってあげるのがよいでしょう。みなさんも、もし世界遺産五女山に行かれることがあったら、ぜひ立ち寄って様子を見てあげてくださいね(^^)。
蔵出し高級アイスワイン。
▲グラスがずらりと並ぶ試飲コーナー。味はいずれもいまひとつ。