毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

上海「田子坊」エリアにまぎれこむ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210721.jpg ▲庶民の生活とこじゃれたショップやカフェが入り交じる「田子坊」の中の小路。

 最近多いですが、今日も上海ネタを一つ。

 ここ10年ぐらいで驚くほど変貌を遂げ、すっかりモダンでおしゃれな街になってしまった上海。羽田~上海虹橋便の開設で日本からのアクセスが格段に向上し、おしゃれスポットが日本の女性誌にも取り上げられたりして、今や上海はある意味国内感覚でふらりと出かける場所になったようです。

 そんな上海でもとりわけおしゃれなスポットをいくつか挙げるとすれば、どこが挙がるでしょうか。もちろんバンドの夜景は筆頭に挙がるでしょうが、ショッピングやレストラン向きのスポットとなると、おそらく「新天地」と「田子坊」がまず挙げられるのではないでしょうか。

 今日はそのうちの「田子坊」スポットをご紹介します~(僕が紹介しなくてもガイドブックとかに情報満載だけどさ~)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210738.jpg というわけで入り口。

 「田子坊」は、上海市中心から南の方、泰康路と建国中路の間に新しくできた観光スポット。何カ所か入り口がありますが、どこから入ってもとにかく中は狭く細い小路が入り組むように縦横に走っていて、すぐに迷ってしまいそうです。この小路は「弄堂」と呼ばれます。小路の両脇にはレンガや石造りの古い住宅が隙間なく建っていて、洗濯物なんかも遠慮なく干されています。電線も、古い建物を支えるワイヤーロープも、遠慮なく天空を横切りいます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210716.jpg 洗濯物も電線も遠慮なし。

 19世紀末から20世紀初めにかけての租界時代、建国中路の界隈はフランス租界でした。ビジネス街としてオフィスが並んでいた共同租界のバンド界隈と違い、フランス租界は裕福な外国人が一戸建ての洋館を構えて優雅に贅沢に暮らしていた高級住宅区でした。泰康路のエリアはそのフランス租界の端っこで、「石庫門」という上海独特の集合住宅が建っていて、一般市民が住む下町でした。1998年になって盧湾区が整備を始め、その後の10年でごくありふれた路地だったこのエリアは大変貌を遂げたのです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210726.jpg 新旧の建築物が交錯。

 今も、石庫門の上では一般市民が普通に暮らしています。小路から扉を覗き込むと、そこには生活そのものが息づいています。しかし一方で、おしゃれなお洒落なカフェやレストラン、雑貨屋、アトリエなどが所狭しと軒を連ねてもいます。すっかりこぎれいなスポットになってしまった「新天地」とここ「田子坊」との最大の違いは、老百姓の生活とおしゃれ空間が混在しているということでしょう。

 世界中から上海を夢見るアーティストたちが集まり、デザインオフィスやアトリエが増え、やがて2000年頃から、「田子坊」 は次第にアーティスティックなエリアとして知られるようになります。 「田子坊 」とは、奇人として知られた中国の古い画家の名前を、そのまま泰康路210弄の名前としたものだそうで、上海的に混沌とした入り組んだ路地の一つ一つが歩いて飽きない不思議なエリアを形成しています。ただでさえ狭い路地にはみ出して並べたカフェのテーブルの一つに陣取って、あるいは、はためく洗濯物を眺めながらバーのカウンターで、昼からビールでも飲みたくなってしまいます。ちょっとごみごみしすぎている感はあるけれど、もう一回、のんびり歩いてみたいな。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818210732.jpg ▲古いレンガ造りの集合住宅のドアを開けると、中はこんな小物雑貨屋だったりする。