帰省ついでの初「江差線」完乗(その15;シングルデラックス)
▲車窓の内側には柔らかい照明に映し出されたA個室シングルデラックスのドアが並ぶ。
2009年12月24日、「あけぼの」発車。
前回の記事にも書いたように、18:08発という時間では、「あけぼの」を青森から利用する人は多くありません。羽後本荘までのヒルネ用に開放された車両にだけちらほらと乗車があるだけで、最初から寝台になっている車両の乗客は数えるほど。もちろん、B個室ソロやA個室シングルデラックスの各室のドアは閉まっていますから、どれほどの個室が埋まっているかはわかりませんけれど。
発車準備、完了。
7号車はA個室寝台シングルデラックス。補助寝台を使えば2人で利用できる個室ですね。僕も一度は乗ってみたいものだと切望しつつ、乗れないまま今に至っています。日の長い夏の上りなんか、個室で日が暮れるまでのんびり静かに酒でも飲みながら車窓の景色を眺めて過ごしたら格別ではないかと想像しているんですが。
さて、発車の時間になりました。
こんな田舎の青森駅も、発車の合図はベル音ではなく発車メロディーになりました。どうも不似合いです。発車を告げるホームのアナウンスも録音テープの人工の女声で、味も素っ気も趣も風情もありません。新宿駅や東京駅なんかと違って発着する列車の本数なんてたいして多くないんだから、訛りの入った駅員さんの肉声で発車を告げてもらいたい。どうもJR東日本は旅情を解さず、センスが悪い。旅情を解さない者が旅のための道具を扱ってよいのだろうか。
などとぶつぶつ考えている間に「あけぼの」のドアは閉まって、静かにホームを離れていきました。客車だから静かです。最後尾の電源車のうなる音だけが動いていって、やがて赤いテールランプが闇へと消えていきました。寝台特急「あけぼの」、しばらく乗ってないなあ……