毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

菜の花咲く高原地帯へ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205836.jpg ▲臨夏市と甘南チベット族自治州の境界にある「土門関」。

 2010年5月10日、棚田から高原へ。

 道の両脇に延々と広がる棚田を眺めながら尾根を走り続けること2、3時間、車窓の風景が変わってきました。急斜面を描いて深く谷に落ち込んでいた棚田の風景は、緩やかな斜面の丘のような草地に変わり、いよいよ高原地帯に入ったことを感じさせます。そろそろ海抜3,000m前後の地形になってきたようです。道路の片側には川も流れるようになり、のどかな田園風景になってきました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205844.jpg 川も流れる高原地帯。

 おや、道路に鳥居のような門が立っています。「土門関」と記してあります。

 ここが臨夏市とその南の甘南チベット族自治州との境界です。四川省北西部と青海省南部を、また、蘭州、臨夏方面と甘南各地を結ぶ重要なルートとして、明代にはすでにここに二層の楼閣を持つ関所があったのだとか。当時の漢族世界とチベット族世界を分けていた境界でもあったのでしょう。

 土門関の脇には少し広めの空き地があり、ここで休憩です。簡素ですがトイレもあります。ここから眺めると、青々とした緑の畑の合間を縫うように黄色い帯も目に入ります。ナノハナです。ナノハナが満開なのです。緑の畑の黄色いナノハナ畑の向こうにはイスラム寺院のモスクも見えますね。なにやら桃源郷とはこんなところかしらと思うようなのどかさです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205850.jpg ここが桃源郷なのかしら。

 臨夏市のほうから大型バスがやってきました。フロントガラスには「合作-蘭州」と書いてあります。蘭州発合作行きの長距離バスです。僕もこの日目指している目的地は合作市です。バスだと蘭州から合作まで6時間ぐらいかかるようです。バスの乗客たちもぞろぞろ降りてトイレ休憩です。土門関前後の海抜は2,600m~2,900mだそうで、日差しはじりじりとした感じがあるものの、吹き抜ける風はさわやかそのものです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205856.jpg 蘭州→合作の路線バスも休憩。

 土門関を出て甘南自治州に入ると、また平地が少なくなり、道路の両脇はすぐ丘と山の連なりが迫ってきます。しかしそれほど険しい感じはなく、さわやかな高原の道が続きます。車窓から見える丘や山の斜面にときどきチベット寺院があります。寺院はけっこう頻繁にあり、その寺院へ向かって五体投地をしながらく進んでいく人々の姿に出くわすこともあります。ここはもうチベットの仏教、チベットの文化、チベットの空気が満ちている地なのです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205901.jpg 風景は高原になってくる。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205905.jpg ▲時折山の斜面にチベット寺院があるのを見かけます。このあたり海抜はずっと3,000mぐらい。