毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ウエルカム・キュウリ

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205727.jpg ▲なんだこれは。

 2010年5月14日、甘粛省華亭県にて。

 ホテルに泊まりますと、時々部屋の中に「ウエルカム・フルーツ」なるものが置かれていることがありますよね。まあビジネスホテルではそういうのはないでしょうけれど、たまにお偉いさんのおともでちょっとランクの高いホテルに泊まらなければならなかったりしたときなど、この「ウエルカム・フルーツ」に巡り会うことがあります。

 僕は5月10日から15日まで、中国のかなり西、シルクロードで名の知れた敦煌などがある甘粛省へ行ってきたのですが、甘粛省と言っても、訪ねたのはほとんど平地がなく斜面を棚田にしてほそぼそと農業を営んでいる貧困県ばかり。

 なかでも13日から14日にかけて一泊した平涼市華亭県(中国では市のほうが県より大きい行政区画)の華硯賓館は、全5泊のうちいちばんしょぼい宿で、バスタブもなく、隣の部屋の話し声やイビキの音が筒抜けで、一泊144元(=2000円弱)でした。しかし、しょぼいとは言え中国だけに部屋はかなり広いです。窓際には中国式にテーブルをはさんで椅子が2脚置いてあります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205715.jpg 窓際の応接セット。

 おや、そのテーブルの上には、お茶セットの他に、ラップにくるまれたお皿も二つ置いてあります。どうやら「ウエルカム・フルーツ」のようです。片方の皿に盛られているのは小ぶりなバナナの房と、赤みがかっているのはなんでしょう、スモモのようはマンゴーのようなちょっとよくわからない果物。お茶セットは蓋付きの茶碗が二つと紙コップ、お茶が2種類に地元のタバコが一箱置いてあります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205719.jpg テーブルの上にあるもの。

 そしてもう一皿には、………アレ? ちょっとなにこれ。キュウリじゃないの。しかも皮もむかずに丸ごと7、8本。

 皿のもう半分には小さくて赤くて丸いもの、プチトマトがぎっしり。プチトマトと言っても日本で見かけるのとちょっと違って少し楕円形です。

 これも、ウエルカムですか?ウエルカム・キュウリにウエルカム・トマト?

 中国長しといえどもこれは初めての体験です。キュウリに歓迎されてしまった。いや、農業がメインの農村県にあるホテルとしてはごく自然なことなのかもしれません。残念ながら昼も夜も食事がたっぷりあったので、このウエルカムたちは手つかずのままにしてしまいました。せめて塩でもあればと思いましたが、そのまま食べてもきっとおいしいに違いありません。省都蘭州から西へ約300km、陝西省寧夏回族自治区との省境に近いこの農村であなたもキュウリに歓迎されてみては?(^^)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205732.jpg ▲というわけで、キュウリに歓迎されました。