毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

2010春・新疆に行きたい心境(その18;クチャのアザーン)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205602.jpg ▲新疆第二のイスラム寺院・クチャ寺院。

 2010年3月11日、クチャ寺院。

 クチャ最後の参観場所はクチャ寺院。新疆地区ではカシュガルのエイティガール寺院に次ぐ第二のイスラム寺院です。クチャの町は新城と旧城に分かれていますが、このクチャ寺院は旧城のバザールやクチャ王府(亀茲博物館) にも近い古い町の中にあります。10世紀にこの地にイスラム教が伝播されてのち、15世紀に最初にここに宗教施設が建てられたのが始まりだそうですが、もともとの建物は1918年に火災で焼失したので、1927年に再建されたそうです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205556.jpg 正門を正面から。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205529.jpg 敷地内に入り内側から。

 正門の高さは18.3mもあり、美しい彫刻とミナレット(尖塔)が目を引きます。その脇から敷地内に入ると、四方に建物がある中庭という感じになります。正門の裏手に隣接する寺院の本殿とも言うべき建物の中に踏み入ると、ドーム型の丸天井まで高い吹き抜けになっていて、天井まで白壁が描くカーブがなんともやわらかい感じがします。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205536.jpg 丸天井まで吹き抜け。

 正門を入って左にあるのが礼拝場。とても広く、屋根はかかっているが壁はないオープンエアでとても広い礼拝場と、その奥には四方が壁で囲まれて部屋になった小さめの礼拝場があります。写真は撮ってもよさそうだったのですが、ちょっと気が退けて撮れませんでした。正門を入って奥にも礼拝場になっている建物があり、冬の寒い時期はもっぱらそこで礼拝が行われているようです。

 そして、正門を入って右にある小さな門をくぐるると、そこはかつての「宗教法廷」です。この宗教法廷がそのまま残されているのがこの寺院の特徴であり、研究の価値のある見所です。もちろん、今は実際にここで裁判が行われるということはありません。政教一致の宗教裁判が行われていたのはいったいいつまでなのでしょうか。何をすると宗教裁判にかけられたのでしょうか。法廷の中には当時の判決書なども保存されています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205548.jpg 小門の奥が宗教法廷。

 宗教法廷址に続く建物の屋根から人の呼び声が聞こえてきました。屋根の上に誰かが上がって、大きなメガホンを手に、よく通る声で叫んでいます。礼拝の時間になったのでしょう、礼拝を呼びかけるアザーンの声だと思います。キリスト教なら教会の鐘が鳴るところを、イスラム教ではこうして肉声で礼拝を呼びかけるのだそうです。この通る声なら、町の隅々にまではっきりと届きそうです。さて、日々の日課である礼拝のおじゃまになってはいけません。我々は静かにクチャ寺院を立ち去りました。

 今回の新疆ウイグル自治区の旅レポはこれでおしまいです。このあとクチャから飛行機でウルムチへ移動し、ウルムチで一泊して北京へ戻ったのですが、クチャで体調をこわしてへろへろで帰ってきたので、クチャ寺院以降の写真も記録も全然ありません。あしからず(^^)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818205542.jpg ▲宗教法廷の内部。正面の卓があるところが裁判官の席か。