毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

ひさびさ青荷温泉(その4;ランプの火ほのかに)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230520.jpg青荷温泉の玄関を入ると薪ストーブ、帳場、客室への廊下がランプの火にゆらめく。

 2010年3月28日、日が暮れて。

 青荷温泉の夕食は合宿テイストたっぷりの「闇鍋」です。闇鍋と言っても鍋料理というわけではなく、日が暮れると食堂もランプの灯りだけになるので、暗くてテーブルの上に並んでいる食べ物のどれがなんだか判別できなくなるという意味であります(^^)。

 夕食時間の午後6時半になると、宿泊客が食堂になっている畳敷きの大広間に集まってきます。大広間中央に置かれたテーブルには大きな電気炊飯器の釜とみそ汁(津軽の「けの汁」)の大釜、そしてイワナの炉端焼きが串に刺さったまま囲炉裏風に差してあり、宿泊客はまさに体育会系の合宿よろしく、各自でご飯とみそ汁を盛り、イワナの塩焼きを一匹ずつ取って指定された席に就きます。

 3月も末なので食堂に集合した頃はまだ外が明るく、テーブルの上に並ぶものも見えていたのですが、ご飯をよそったりビールを飲んだりしているうちに外は暗くなり、テーブルの上に並んでいる食べ物が判別できなくなります.そこで名物おじさん登場。青荷温泉のスタッフのおじさんが、津軽弁でおもしろおかしく今日のメニューを説明してくれるのです。この日の宿泊客は20人弱。そのうち5人ほどが外国人だったこともあり、おじさんの津軽弁はいつもより通じていなかったような……(^^ゞ。

 食後の散歩と言うには外はちょっと寒いですが、腹ごなしに外に出てみます。「のめくり坂」を途中まで上って振り返ると、谷底に横たわる青荷温泉の建物にランプの火が点々と灯っているのがほのかに見えます。空には雲が多いものの、時折十三夜の月が顔を出して一瞬雪明かりが宿を照らします。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230529.jpg 青荷温泉、ほのかに全景。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230524.jpg 本館正面も仄かな明かり。

 本館の正面玄関を入ると、そこは吹き抜けのようになっていて、高い天井からランプが5つ吊り下げられています。その下には大きな薪ストーブ。その奥の帳場の内側は、仕事をするためにランプが多めに吊られていて文字が読めるほどに明るくなっています。この日は宿泊客が少ないので、夕食が済んでしまうと、宿全体がもう眠りに落ちてしまったように静かです。

 玄関を入って左側には売店があり、木のベンチや腰掛けが並んでいるので、ここに腰を下ろし、ランプの光にほのかに照らし出される室内の様子を飽かずぼんやりと眺めていると、本当に俗世から隔離されたような気持ちになってきます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230507.jpg 玄関に吊られたランプ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230514.jpg 帳場から灯りが漏れる。

 帳場脇から一階客室へ続く廊下に入ってすぐ右には、午後9時まで開放されている休憩室があります。畳の座敷の真ん中にはテーブル式の囲炉裏があり、食後などに泊まり客どうしが集まって歓談に興じたりできるようになっていますが、この日は誰もおらず、天井に吊られた4つのランプの灯りが静かに揺れるばかりです。こんな場所で湯飲み茶碗で日本酒を飲むっていうのがいいのだけれど、あ、そう言えば黒石の地酒「津軽娘」を買ってきたんだった。部屋に戻ってじっくり茶碗酒でもやりますかね。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230457.jpg 休憩室、21時まで開放。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818230502.jpg ▲休憩室の囲炉裏の上にはランプが4つ。灯りがゆらゆらと揺れるごとに夜が更ける。