毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

2010春・新疆に行きたい心境(その1;PEK→URC→KHG)

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▲ボゴダ山脈か。砂礫の砂漠に水の流れた跡だけが刻まれている。
 
 3月7日から12日まで、中国は新疆ウイグル自治区へ行ってきました、っていう話は13日付けの記事でちょこっと書きましたが、今回から少し詳しめの旅レポを書いて行きたいと思います。
 
 新疆ウイグル自治区は、チベット自治区とともに中国の西端に広がる広大な行政単位。新疆ウイグル自治区だけで面積は日本の4倍もあり、、インド、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタン、ロシア、モンゴルと国境を接しています。自治区の人口は約2千万人で、その三分の二が漢族以外の少数民族です。少数民族でいちばん多いのはウイグル族、続いてカザフ族、回族といった感じ。区都は自治区北央部に位置するウルムチです。
 
 下の地図は新疆ウイグル自治区の一部を周辺の国と一緒に示したものです。右上にホームマークが付いているのがウルムチ(烏魯木斉)、真ん中あたりにカシュガル(喀什)とあるのがわかるでしょうか。ここが中国全体のどのあたりに位置するかはご自身で調べてみてくださいね。
 

 ウルムチと聞くと昨年7月に起きた暴動を思い起こされる方も多いかと思いますが、今は平穏を取り戻しています。新疆と言えば日本人にとってはやはり「シルクロード」の印象でしょう。長安(今の西安)から敦煌を経て、天山北路、天山南路、西域南路と分かれて西へ向かうシルクロード沿いに今も残る数々の遺跡や他民族地域の独特な雰囲気は多くの旅人を誘います。

 そんな新疆へ北京から出発したのは3月7日、北京発08:50の中国南方航空CZ6904便ウルムチ行きです。このエリアはかつて新疆航空がカバーしていましたが、中国北方航空とともに中国南方航空に吸収合併されたので、新疆を飛ぶフライトのほとんどは今や中国南方航空です。ただ、フライトナンバーの上2桁が「69」のものは元新疆航空のオペレーションによるものです。

 中国北方航空が所有していたA300-600Rを使用したCZ6904便(レジB-2323)はほぼ定刻に北京を離陸しました。ウルムチまでは2,464kmあり、ダイヤ上のブロックタイムは3時間55分。この距離をマイルにすると1,531マイルですが、羽田~石垣島線が1,229マイルですから、ウルムチが以下に遠いかがわかるというものです。

 4時間近くのフライトなので、わりとしっかりした機内食が出ます。パンや冷菜類が入った紙箱と、鶏肉か牛肉をチョイスできるホットミールが配られます。紙箱の中には、サラダ(の、ようなもの)、丸パン、ザーサイの真空パック、ヨーグルト、ドライフルーツの小袋が入っています。パンとザーサイ、中国の機内食のゴールデンコンビです。
イメージ 2国内線でもちゃんと機内食。
 
 ホットミールの上を覆っているアルミに、モスクの図柄と「清真」と書かれた小さなシールが貼ってあります。これは「イスラム教徒も食べられるもの」ということですね。当然のことながらイスラム教徒は豚肉を食べませんが、それ以外にもイスラム教徒の食事にはいろいろな規律があるでしょうし、機内食を提供するにもずいぶん配慮が必要なのでしょうね。
 
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ホットミールに清真マーク。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 やがて機窓の景色は険しい山地と、ひたすら何もない砂漠に変わってきます。僕は進行方向右側の窓だったので、ポゴダ山脈のごつごつとした山肌、その向こうに果てしなく広がるジュンガル盆地の砂礫、雪解け水かが流れて山肌や砂漠に残していった痕跡などがくっきりと見える一方、夏ならば緑に覆われたオアシスがところどころ見えるのですが、今の時期では町や生き物の息づかいは地上にはまったく感じられません。急峻な山が続く景色が途切れ、地面の起伏が小さくなると、やがて地上は真っ白な雪に覆われました。3月中旬とは言え、このあたりはまだまだ寒い気候が続いているのでしょう。
 ひたすら巡航を続けたCZ6904も徐々に高度を下げ、ウルムチ空港へアプローチし、やがてRWY25にランディングです。定刻より少々遅れて13:05の到着となりました。
 
イメージ 3雪原はジュンガル盆地か。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ウルムチ空港へやってくるのはなんと16年ぶり。現在のウルムチ空港はとてつもない変貌を遂げていて、ブリッジがずらりと並ぶ大空港になっていました。拡張工事が進められており、この3月27日からは第3ターミナルが供用開始になるのだとか。
 
 僕は降りてすぐ乗り継ぎなのですが、北京でのスルーチェックインはできなかったので、まずはターンテーブルで荷物が出てくるのを待たねばなりません。ところがこれが待てど暮らせど出てこない!次に乗るのは14:25発のカシュガル行きCZ6805便。さいわい、ターンテーブルのある託送荷物引き取り場に乗り換えカウンターがあり、そこで次の便のチェックインができたので、なんとか間に合って手続きを済ませることができました。
 
イメージ 4巨大になったウルムチ空港。
 
 急いで搭乗ゲートへ進み、CZ6805便に乗り込みます。ウルムチからカシュガルまでは1,050km、所要1時間40分の予定です。1,050kmはだいたい652マイルなので、札幌(新千歳)~大阪ぐらいの距離になります。機材は確かB737-700。席が窓際ではなかったので地上の景色はよく見えませんでしたが、タクラマカン砂漠を北から南西へ対角線で横切るようなイメージです。
 
 北京を出たのが朝08:50。それからひたすら3,500km飛んで、カシュガルへやってきました。北京から日本へ帰るよりはるかに遠いのに、新疆ウイグル自治区はなお中国の一部です。いかに中国という国が広大かということがわかります。
 
 カシュガルには雪はありませんでした。砂礫の砂漠の中につくられた滑走路に無事着陸しました。カシュガル空港も新装なったばかりで、この町の発展の大きさを窺わせます。今回の新疆旅レポは、まずこのカシュガルから始まります。
 
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▲新装オープンしたばかりのカシュガル空港。パキスタンやタジキスタン、キルギスも近い。