「日本海」の夜は更けて。
2010年2月21日、奥羽路を上る。
今回の僕の一夜の宿は3号車3番下段。寝台券を買ったのは前日で、なるべく機関車に近いほうがよいと思い、禁煙車ではいちばん前の2号車の下段を青森駅のみどりの窓口で所望したら「2号車は下段はいっぱいですね」と言われ、3号車になったのですが、下段が埋まっているとはなかなかの盛況と言えましょう。
3号車のほうは青森発車時点で下段が三分の一ちょっと埋まっていましたが、3号車も今夜は盛況なのでしょうか。僕の向かいの4番下段もまだ空いています。
お向かいさんもまだ空席。
上段には転落防止網が。
青森を出て最初の停車駅は弘前。僕はそろそろ食事にしましょうか。
今回は青森駅に隣接する駅ビル「ラビナ」の1階で「日本一」という店の焼き鳥と「おむすび本舗こまち屋」のおにぎりを求め、ついでにおみやげ店「あおもり路」の地酒コーナーで弘前六花酒造の地酒「じょっぱり吟醸酒」の300ml瓶とヱビスの缶ビール「琥珀ヱビス」と「ヱビス・ザ・ホップ」を購入しました。これだけあれば足りるでしょう(たぶん)。
寝台列車の旅のおとも。
弘前の次の停車駅は大鰐温泉。左側の車窓からは、こんもりと積もった雪の向こうに弘南鉄道大鰐線大鰐駅のホームが見えます。人影は見えませんが、停まっているステンレス車には明かりがついています。20:30発の中央弘前行きでしょう。
焼き鳥とおにぎりは缶ビールとともにすっかり平らげ、あとは地酒「じょっぱり吟醸酒」をちびりちびりやりながら、車窓の闇の中にときどき浮き上がっては過ぎ去っていくのをぼんやりと眺めます。僕のいる3号車はオハネ24-10。客車の車内はひっそりと静かで、レールの継ぎ目の音や通過駅でポイントを乗り換える音ばかりが心地よく耳に届きます。大鰐温泉駅の次の停車駅は、県境を越えて大館に20:57の到着です。
大館到着。
大館の次は鷹ノ巣が21:14の到着。南へ南へと走っているわけですが、大館駅にも鷹ノ巣駅にもこんもりと雪が残っています。秋田まではヒルネ区間だし、乗降客があってもいいはずですが、どちらもホームはひっそりとしていて、まるで深夜の趣です。鷹ノ巣駅では「秋田名物内陸線」「ロマンをむすぶ秋田内陸線」などと書かれた秋田内陸縦貫鉄道の案内板が見えます。そういえば秋田内陸縦貫鉄道の廃止話はその後どうなったのでしょう。がんばってほしいなあ。
鷹ノ巣駅では内陸線の案内が。
21:39着の東能代を前におやすみ放送が入り、ヒルネ乗車で秋田で降りる人は車内放送による案内はないので乗り越さないよう注意が促され、やがて22:28、「日本海」は秋田に到着しました。ここで僕のお向かい、4番下段の主も現れ、見回すと3号車の下段は秋田まででだいぶ埋まったようです。2号車へ様子を見に行ってみると、2号車は下段が満席なだけでなく、上段もいくつか埋まっています。前日の20日が八戸の民俗芸能「えんぶり」の最終日で、県外からもかなり観光客が来ていたようなので、その影響でこんなふうに「日本海」も盛況なのかもしれません。うれしいことです。
列車はこのあと羽後本荘、酒田、鶴岡と停まっていきますが、そろそろ僕は寝支度です。翌朝は06:51の加賀温泉着の前におはよう放送が入るとのこと。ま、僕は終点までですから、ゆっくり寝坊させてもらいましょうー(^^)。
▲客車ならではの静寂が魅力の寝台列車。もの思いにふけるには最適です。