カヤ・トーストとシンガポール・スリング
▲シンガポール「阿妹Ah Mei」のカヤ・トーストのセットです。
先に行ったチキンライスの店で、一緒に行った人と「シンガポールみやげは何がいいか」という話になったとき、「カヤ・ジャムはどうか」というのが出ました。僕は知らなかったのですが、ココナッツミルク、卵、砂糖で作ったシンガポール名物のジャムなのだそうで、トーストに塗って食べるのが定番なのだとか。ココナッツはあまり好きではないのですが「そんなにココナッツっぽい味はしない」と言われたので、チキンライスを食べたあと空港へ行くまでの時間を利用して、カヤ・ジャムを探しに出ました。
オーチャード・ロード沿いをしばらく歩き、とあるビルの地下にあるフードコートに入ってうろうろしてみたら、漢字で書かれた看板がびびびっと目に飛び込んできました。「阿妹烤麺麭」と書いてあり、その下には「Ah Mei Kaya Toast」とも書かれています。まさにカヤ・トーストの店ではないか。
「阿妹」カヤ・トースト屋さん。
店内には二人がけの小さいテーブルが10もないでしょう。レジの前には行列ができていて、かなりの人気です。注文を受けると、レジのおばさんが飲み物を作り、その奥でトーストを焼いたりサンドイッチを作ったりする係の人が忙しく立ち働いています。そこで僕も並んで、Cセットを注文。カヤ・トーストとミルクティーのセットで3.2SGD(=約210円)です。
アイスミルクティーだけ先に受け取って席に就いて待つことしばし。出てきたのは、焦げ目がついてかりかりになったラスクみたいな小さなトースト。トーストの間から見えている黄緑のようなのがカヤ・ジャムです。
Cセット、3.2SGD。
これがカヤ・トーストだ!
さっそくほおばると、まず気持ちがよいほどさくさくっという歯触り、そしてふんわりと甘いカヤ・ジャムの味が広がります。これはなかなかオイシイ!軽くランチに、3時のおやつに、まさにぴったり!厨房はガラス張りなのでトーストを焼いているのがよく見えますが、薄いトーストを網で焼き、焦げ目が付いたところでナイフでさらに薄く切り、カヤ・ジャムを塗る手際の良さはたいしたものです。レジ脇で瓶詰めのカヤ・ジャムを売っていたので、おみやげに購入しました。確か一瓶10.8SGDだったと思います。
瓶詰めのカヤ・ジャムです。
これで今回のシンガポール出張もめでたく終了。16:55発北京行きSQ810便目指してチャンギ空港へ向かいます。しかし、一つ心残りがあります。それは、世界的に有名なカクテル「シンガポール・スリング」を飲む機会がなかったこと。タイガービールはたっぷり飲みましたが、シンガポール・スリングは飲み忘れた!
カクテル「シンガポール・スリング」は、1915年にシンガポールの名門ホテル、ラッフルズの「ロング・バー」で生まれ、今や世界中に広まってカクテルの定番として親しまれています。ラッフルズ・ホテルを愛したイギリスの文豪サマセット・モームに「エキゾチックな東洋の神秘だ」と言わしめたシンガポール湾の夕焼けをイメージしたと言われるこのカクテル、現在のラッフルズ・ホテルでは、ドライジン、チェリーブランデー、ホワイトキュラソー、レモンジュース、パイナップルジュースにビターズとグレナデンを1ダッシュいれてシェークするのがレシピになっているとか。
……ところが。
シンガポールを定刻16:55に出発した北京行きSQ810便。シートベルトサインが消えて機内サービスが始まると、エコノミークラスでも機内食のメニューが配られます。その飲み物のページを見ると、そこにしっかりと「シンガポール・スリング」があるではありませんか!しかもちゃんとこのカクテルの由来も記してあります。さすがSQ!さっそく客室乗務員さんにお願いすると、すぐに作ってくれました!あ、もちろん、客室乗務員さんがシェイカーを持ってしゃかしゃかしてくれるわけではないんですが、真っ赤な夕焼け「シンガポール・スリング」!
機内で飲めました!
ああ、これで思い残すことはありません。マドラーで時々かきまわしながら、ゆっくりと「シンガポール・スリング」を味わいます。実は僕、今まで飲んだことがなくって、これが初めて。おつまみをぽりぽりやりながら、甘く切ないカクテルをゆっくりと楽しむうちに、SQ810便はベトナム沖へとさしかかり、そろそろ夕食が配られます。北京までの飛行時間は約5時間半。機上からはシンガポールの夕焼けは見えなかったけれど、赤いカクテルとともにしばらくの間スカイ・クルージングです。
おつまみとともに。
▲離陸後約1時間ちょっとでベトナム沖を巡航中です。