毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

太宰治生誕100周年記念トリップ(その19;最終回)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818225257.jpg ▲夕闇迫る津軽平野にシルエットが美しい津軽富士・岩木山

 2009年9月3日、津軽平野に日が沈む。

 五所川原から乗った快速「リゾートしらかみ5号」は、水田とリンゴ畑の広がる暮れなずむ津軽平野を走ります。朝から晩までずっと晴れ続けた一日というのは珍しい。朝、全体の姿をくっきりと見せていた岩木山は、この時間になっても雲に遮られることなくその姿を見せ続けています。日が暮れかけて、オレンジ色に変わりつつある夕空にシルエットが浮かび上がるようです。

 西の空には丸い夕日が沈もうとしています。津軽ではもう初秋の夕日、初秋の空。もうすぐあっという間に秋が深まって、津軽平野は収穫の季節を迎えます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818225252.jpg 津軽平野に沈む夕日。

 「リゾートしらかみ5号」は、陸奥鶴田、板柳、川部と停まって、18:23、弘前駅2番線に到着しました。弘前では10分間停車して進行方向を変え、18:33に発車します。わずかに乗っていた乗客も弘前で降り、1号車の車内はとうとう僕一人になってしまいました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818225318.jpg 弘前でひとりぼっちに。

 隣の3番線には、「リゾートしらかみ5号」よりもあとに発車する、18:41発の98M特急「つがる98号」が発車を待っています。485系3000番台です。今回の帰省では何回も特急「つがる」を見かけましたが、ことごとく485系3000番台でした。E751系はどこへ行ってしまったのでしょうか。

 「つがる98号」は八戸行きですが、もう東京行きの「はやて」には接続しません。八戸で接続する「はやて98号」は仙台行きです。この時間帯から東京を目指すには、18:46発の2022レ寝台特急「あけぼの」に乗るか、青森空港で羽田行きの最終便をつかまえるしかありません。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818225307.jpg 八戸行き「つがる98号」。

 さて、この「つがる98号」、弘前を発車するのは「リゾートしらかみ5号」より8分あとですが、青森には17分も早く着きます。「リゾートしらかみ5号」は弘前を出たあと北常盤運転停車し「つがる98号」に抜かれるダイヤが組まれています。そのため、弘前駅のホームでは「『リゾートしらかみ5号』は臨時列車なので、定期列車を優先的に走らせます。青森方面へお急ぎの方は『つがる98号』をご利用ください」というアナウンスが繰り返し繰り返し流れ、「リゾートしらかみ」だと時間がかかることをそれとなくアピール。「つがる98号」で青森までなら自由席特急券は500円。「リゾートしらかみ」の指定席券はこの日のような閑散期なら310円、しかし通常期なら510円。微妙なところです。いっそのこと弘前~青森間は全車自由席にして通勤通学客に開放すればいいのに。

 がらがらになった車内で大きな窓を独占です。弘前から青森まで、途中客扱いをする停車駅はありませんが、運転停車が何回かあるのでしょう、59分もかかります。全駅に停まる701系普通列車よりはるかに遅いです。しかし急ぐ旅でもなし、小説「津軽」を片手に訪れた中里、小泊の日帰りトリップの締めくくりに、「リゾートしらかみ5号」でのんびり行きましょうや。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818225313.jpg 弘前で10分停車。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818225301.jpg弘前から青森まで、最後の一区間を前に一息入れるくまげら編成。