太宰治生誕100周年記念トリップ(その14;イカの生干し)
▲のれんが風にそよぐようにイカの生干し。
2009年9月3日、小泊港。
「小説『津軽』の像記念館」をあとにし、記念館と小泊小学校の間の道を抜けて小泊港へと歩きます。漁は朝のうちに終わったのか、港には小型漁船がたくさん繋留され、のどかな港の風景が広がっています。磯の香りを感じながら岸壁に立って見回すと、左手の西のほうへは海岸線はゆるくカーブを描きながら小泊岬へ続く小さな半島のほうへのびています。右手の東側は七ツ石と呼ばれる切り立った崖、その向こうに龍飛岬へと続く津軽半島が望めます。
のどかな漁村・小泊港。
小泊岬へ続く海岸線。
険しい崖は七ツ石。
おや、そのさらに先、水平線のかなたにもうっすらと陸影が見えています。あれはもしや北海道でしょうか。地図で見ると、小泊から北海道が見えるとすれば松前半島の松前町、白神岬がちょうど正面になります。あれは本当に北海道であろうか。龍飛岬からだってあんまりよく見えたことがないのに……。この日はすこーし霞んでいましたが、もっとくっきりと晴れた日なら北海道ももっとよく見えることでしょう。
遠くに陸影見えますか。
さて、ここで母親から頼まれたものを求めなければなりません。それは「イカの生干し」。小泊港に行けばイカの生干しを売ってるから買ってこいとの厳命を受けてワタクシやってまいりました。しかし、ざっと見回したところ、売ってそうなところはどうも見あたりません。帰りのバスの時間も迫っているし、どうしたものかと海べりの道をずんずん歩くことしばし、小泊漁協を少し過ぎたあたりでついに発見しました!イカの生干しがずらりと並んで海風を浴びています。
店先にはおばちゃんが3人集って、火を熾した七輪に網をかけて生干しを焼きながら井戸端、というか七輪端会議中。店先にはさきいかやスルメなんかも積み上げて、一杯やりたくなっちゃいますねえ。イカの生干しは1枚200円。5枚買ったら、七輪の網で炙られ中のあつあつ生干しをさくさくと細切りにして一枚分をおまけにくれました。うれしいねえ。今年は太宰生誕百周年だからお客さんも多いんじゃないのとおばちゃんに尋ねたら、「なんも、なんぼ来てもこごさは来ねもんねぇ」。なるほど、観光バスでやってくる観光客は記念館で降りてみるだけで漁港のほうへは下ってこないのかも。さびしいねえ。それにしても、小泊のイカの生干し、おいしいですよ(^^)。
店先に集う三人衆。
▲七輪の炭火であぶるイカの生干し、いい焦げ目がついてます。