またまた「あけぼの」に乗りました(その3;帆立釜めし)
上野行き寝台特急「あけぼの」は、青森駅を定刻に発車しました。車内はまだがらがらで、車輪がレールを刻む音や、連結部の金具ががちゃがちゃと揺れる音ばかりが静かな車内に聞こえてきます。車窓には田植えを終えた田んぼや緑に茂ったリンゴ畑が広がり、のどかな津軽の風景が広がります。あいにく空は厚い雲に覆われていて、残念ながら岩木山はまったく見えません。
今夜は主は来るかな~。
さて、まだ外は明るいですが、宴でも始めましょうか。
今回は駅で青森には珍しい地ビールを買い込みました。その名は「奥入瀬ビール」。十和田湖ふるさと活性化公社が、八戸駅西口と十和田湖を結ぶJRバス「おいらせ号」が途中トイレ休憩をする国道102号線沿いの道の駅「奥入瀬・奥入瀬ろまんパーク」で作っている地ビールらしいです。この道の駅には「奥入瀬麦酒館」というのがあり、そこで楽しめるビールのようですね。「選び抜かれた麦芽とホップを奥入瀬の源流水で仕込む」のだとか。青森駅の売店にはその缶バージョンの「ピルスナー」、「ヴァイツェン」、「ダークラガー」があったので、それぞれ一本ずつ買い込みました。
「奥入瀬ビール」三兄弟。
それからもう一本は、弘前市のニッカウヰスキー弘前工場が県産紅玉リンゴだけを使って作ったという限定醸造「ニッカシードル・紅玉リンゴ」。この製品は、シードル誕生50周年を祝って2007年に初めて製造されたもので、アサヒビールが全国販売した際に好評だったため、その後毎年製造され、今年も3月10日から販売されているのだとか。
そして駅弁。青森駅には、八戸駅と言えば「小唄寿司」というようなこれと言った定番駅弁はないのですが、けっこう昔から根強い人気があるのが「むつ湾産帆立釜めし」。釜めしと行っても、横川の「峠の釜めし」みたいに立派な陶器の釜なんかじゃなくてプラスチックのしょぼいものですが、しっかり味付けされた小振りの帆立がびっしり載っているし、付け合わせの山クラゲのこりこりとした食感がまた格別で、食事にも酒の肴にもぴったりの駅弁です。
地ビールに地駅弁。
18:45、弘前駅3番線に到着しました。
この時間帯、弘前駅はフル稼働です。1番線には青森発秋田行き普通列車666Mが18:39に到着して、「あけぼの」が出たあとの18:55に発車予定。2番線には大館発青森行き普通列車661Mが18:38に到着して18:51の発車を待っています。「あけぼの」到着の直前、18:41には98M特急「つがる98号」が出ていったばかりです。ふだんは下り列車に使われる1番線に上り列車が入っているのがちょっと不思議な感じです。
弘前到着。
そろそろ外は暗くなってきました。弘前を出た「あけぼの」は、薄闇の中を大鰐温泉、碇ヶ関と停まり、それからいよいよ県境越えです。2号車には弘前から二人連れが二組乗ってきて、少し寝台が埋まりました。心地良い客車の揺れに身を任せるうちに缶ビールは次々と空き、そろそろ駅弁に取りかかろうかというところ。いやー夜行列車っていいなー。こうやって飲んで、食べて、酔っぱらってもそのまま寝ちゃえばいいんだもんなー。缶ビール、もう一本買ってくればよかったなーっと(^^)。あ、そうそう、そう言えば、今春のダイヤ改正から「あけぼの」の青森~秋田間の車内販売が廃止になったようですね。極めて極めて残念です。上りでは缶ビールの補充ができないし、下りではモーニングコーヒーが楽しめません。夜行列車廃止、車内販売廃止、在来線廃止……利用客から旅の楽しみを次々と奪っていって、そんなにまでして儲けたいのかなあ、JRは……。
▲缶ビールも飲んじゃったし、そろそろ駅弁食べようか。