毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

はじめての「SL冬の湿原号」⑪(釧路湿原)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025159.jpg ▲「SL冬の湿原号」から。釧路湿原に沈み行く太陽。


 2005年1月23日、SL冬の湿原号、川湯温泉→釧路。

 川湯温泉に到着した「SL冬の湿原号」が釧路への折り返し準備をする間、乗客たちは思い思いにホームで写真を撮ったり、駅舎内での出迎えイベントを楽しんだり。
 僕も「オーチャード・グラス」の名物ビーフシチューのお持ち帰りランチセットを買い、指定された2号車にいそいそと乗り込みます。この日の「SL冬の湿原号」は1、3、4号車が14系客車の改造車で、2号車のみスハシ44-1のサロンカー。普通席の他に売店やフリースペースがあります。そして編成の前後に一両ずつ緩急車、SLのうしろには補機としてDE15が鎮座します。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025208.jpg 2号車はスハシ44-1のサロンカー。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025214.jpg サボの一つ一つが冬の湿原仕様。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025218.jpg 緩急車にもヘッドマークつき。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025223.jpg 火の加減は若い車掌さんの仕事。

 14:45、「SL冬の湿原号」は汽笛一声、川湯温泉を出発しました。

 釧路方の緩急車には地元のネイチャーガイドが乗車し、沿線の自然を紹介してくれます。。エゾシカの本物の角に触れながら説明を受けたりとても楽しいですし、普段は乗ることができない緩急車の中に入ってみるだけでも貴重な体験です。網走方の緩急車の中はからっぽですが、ネイチャー教室が開かれる釧路方の緩急車にはシートもダルマストーブもあって、そこにずっといたくなってしまいます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025233.jpg 緩急車の中でのんびりしたい。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025229.jpg 摩周到着。

 午後4時を過ぎ、早くも太陽が夕焼け色に変わりかけてきた頃、いよいよ右手に釧路湿原が広がってきます。緩急車のオープンデッキでススにまみれながら湿原に沈み行く太陽と少しずつ暮れてゆく湿原の表情をうっとりと眺めます。SLの吐く息の音を聞きながら湿原の広さと少しずつ変わっていく空の色と夕陽にくっきりと現れる森のシルエットを、寒風が顔を突き刺す痛さも忘れてぼーっと眺め続けました。

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 そして列車は17:04、すっかり暮れてしまった終点・釧路に到着です。周りの闇と区別のつかなくなった真っ黒い車体の蒸気機関車の中では、乗務員さんたちが回送の準備でまだ忙しく立ち働いています。
 2時間以上に及ぶ初めてのSLの旅はあっと言う間でしたが、一度は退役した蒸気機関車が、こうしてみごとに復活して楽しい旅を演出してくれているのをとても頼もしく感じました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025204.jpg 終点釧路に日は暮れて。

 釧路にも厳しい冷え込みが忍び寄っていました。身がちぎれるような寒さの中を幣舞橋のたもとにある釧路フィッシャーマンズワーフMOOまで行ってジンギスカンを食べ、それから釧路空港へ向かいます。
 これでたった三日間の北海道旅行はおしまいです。でも、厳冬の北海道の姿はたっぷり見られたような気がします。また来よう北海道、そしてまた乗ろう「SL冬の湿原号」。そう思いながら、20:25発のJAL1148便で釧路を離れました。少し眠れば東京です。