JASがカラフルだったあの頃。
東京駅から九州へ向かうブルートレインが出ていたことを覚えている人がこれからだんだん少なくなっていくだろうことと同じように、今や「JASって覚えてる?」と尋ねると、「え?JAS? ああ、あの「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」、いわゆる「JAS法」に基づいて、農林水産大臣が制定した規格による検査に合格した製品にJASマークをつけることを認めるっていう、あの日本農林規格のことでしょ?」という返事しか返ってこない時代に、早くもなってしまったかもしれません。
回りくどい話はさておいて。
今日ご紹介するのは、今を去ること約4年前、2005年6月10日に乗った飛行機のお話です。
その日僕は、青森へ帰省するべく、珍しく羽田空港へやってきました。時間はまだ早朝7時半。でも羽田空港はとっくに活気にあふれていて、ターミナルは大混雑です。僕は青森行きの初便JAL1201便に乗ろうと搭乗待合室まで歩を進めました。
この頃はすでにJASとJALは合併が進み、JAS機の塗装も次々にJAL仕様に変えられていっていましたが、まだJAS機塗装のままで残されていた機材も見受けられました。1996年4月に導入されたMD-90には、黒澤明監督自らがデザインした7種類のレインボウ・パターンの特別塗装が施されていましたが、このMD-90の虹デザインもかなりあとまで残っていたと思います。
早朝の羽田のエプロンを見ると、手前にクロサワ・デザインの1号機JA8064、その向こうにこれまた派手なスカイネットアジア航空(SNA)のB737、そしてJAL塗装になった元JAS機のA300-600RとJAS塗装のままのA300-600Rと、朝からなんともカラフルではありませんか!
羽田空港、なんともカラフル。
さて、青森行きの初便JAL1201便に乗り、午前09:10頃、曇天の青森空港に到着しました。降機後、送迎デッキに上ってみます。
JAL1201便は元JAS機ですが、塗装はすでにJAL仕様に変わってしまっていました。これから機内整備を行って、JAL1202便として羽田へ折り返します。スマートでシンプルなJALの塗装も悪くはないけれど、A300-600RにはやっぱりJASのレインボウカラーが似合うような気がするなあ。
青森空港でーす。
展望送迎デッキでしばらくぼんやりしていると、ぱっと見た感じ水色が目立つ機体が下りてきました。羽田で見かけたのに続いて、またもクロサワ・デザインのMD-90のようです。伊丹からのJAL2151便でしょうか。
MD-90がゆっくりとターミナルへ向かってタクシングしてきました。この機材のレジはJA8062、クロサワ・デザインの4号機です。
黒澤監督を起用して7種類もデザインを作り、それぞれ2、3機ずつこのデザインの塗装を施すなんて、遊び心もあるし、一種のアートでもあるし、「JASならでは」とも言えるおもしろい試みだっただけに、JALとの合併とともに塗り替えられてしまったのはなんだかとても残念です。JASでしか実現し得なかったMD-90と黒澤監督とレインボウカラーのコラボレーション、JALになっても残しておいてもよかったんじゃないかなあ。
クロサワカラー、タクシー中。