「日本海」でいったりきたり(その29;晩秋の奥入瀬渓流)
▲奥入瀬渓流雲井の滝。迫力あります。
2006年11月29日、雨の奥入瀬。
奥入瀬渓流散策の一般的なコースは十和田湖畔の子ノ口と焼山の間の14.2kmで、もうちょっと短くするとすれば子ノ口の一つ手前の銚子大滝と、焼山の5.2km先の石ヶ戸との間の7.3kmを歩きます。銚子大滝~石ヶ戸間の一般的な所要時間は2時間15分と見込まれています。JRバスの石ヶ戸着は09:14、この日は僕も石ヶ戸からスタートです。
蔦温泉では晴れ間が見えていましたが、奥入瀬に入って天候はまた曇り、時折小雨が降る天気となりました。しかもほとんど舗装されていない散策道は落ち葉が深く積もっているところなど湿地のようにぬかるんでいてなかなか思うように歩けません。しかし、雨が降り続いているにも関わらず奥入瀬の流れは濁ることなくその清流はとうとうと流れていて、紅葉が終わったあとの冬枯れた景色の中にすがすがしい音を響かせています。他に散策をする旅行客もほとんどおらず、奥入瀬渓流を独占です。
雲井の滝の少し先の右側に見えてくるのは「白布の滝」です。高さは約20m。夏など木の葉が生い茂っている時期は渓流から少し離れたり奥まったりしたところにある滝は木々に遮られてよく見えないこともあるでしょうけれど、葉がほとんどすべて散ってしまったこの季節ならしっかり見通すことができます。
白布の滝。
奥入瀬渓流は可能な限り人工的な手を加えないことになっていますので、倒れた木はそのままに、苔の生えるところは苔が生えたまま、石が落ちたところ転がったところもそのまま、そうしてできあがる、時に速く時にゆっくりと、いっときとして同じ姿を見せない流れの妙を楽しむことができるのです。
時にゆるやかに。
時に速く。
晩秋は苔の緑が引き立つ。
流れの音が聞こえてきそう。
奥入瀬渓流のさまざまな表情を、急ぎ足ながらも楽しんで、銚子大滝までの三分の二を歩いてきました。左に見えてくるのは、横縞の入った岩の上を、まるで玉すだれをかけたかのように水が流れ落ちる「玉簾の滝」。そしてその反対側には「白糸の滝」が見えます。
玉簾の滝。
白糸の滝。
そしてなんとか銚子大滝バス停にたどりつきました。銚子大滝そのものへ近づく時間はなくなってしまいました。銚子大滝バス停11:03発の八戸駅西口行きの「おいらせ号」にどうしても乗らなければならないからです。石ヶ戸から銚子大滝まで、7.3kmを約1時間50分で歩きました。ぬかるみを避けながらの散策はちょっとたいへんだったけれど、こういう季節に奥入瀬を訪れることはあまりないので、人けのないひっそりとした雨の奥入瀬の表情を垣間見ることができてすごくよかったです。
さて、八戸駅まで2時間弱、温かい車内でのんびり過ごして行きましょう。
▲木々が葉を落とし枯れている中で、苔の緑が鮮やかです。