毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「日本海」でいったりきたり(その28;泉響の湯)

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               ▲梁の高さが12mもある「泉響の湯」。

 2006年11月29日、青空が見えた。

 蔦温泉での一夜が明けました。温泉旅館の醍醐味の一つは朝風呂であるからして、朝食前に朝風呂へ出かけます。

 蔦温泉旅館には風呂場が2ヶ所あります。一つは「久安の湯」といい、時間帯で男女が入れ替わります。もう一つは井上靖氏の命名による「泉響の湯」といい、男女別です。朝は男性は「久安の湯」には入れないので、「泉響の湯」のほうへ入ります。

 「泉響の湯」は浴槽から梁までの高さがいちばん高いところで12mもあり、湯の響きに格別の味わいがあります。源泉が浴槽の真下にあり、あふれるお湯が流れていく浴槽脇の板張りの上に寝そべって湯面を眺めていると、ブナの底板のすきまからお湯がわき上がってきて、ぼこりと湯面に波を立てるのが不思議な感じです。わき出たばかりの温泉はまだこなれていないので、最初は肌にぴりぴりとした刺激を与えるかもしれません。しかし実はここの湯は非常にやさしく、浸かれば浸かるほど体に染み渡ってきます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818123655.jpg 「泉響の湯」の湯船。

 今回は、蔦温泉旅館の本館に泊まりました。大正時代に建てられたものがそのまま使われています。廊下や柱や梁などがほの暗い明かりの下でいい色に輝いています。今回泊まった本館の部屋は、女優の吉永小百合さんが「大人の休日」キャンペーンのポスター撮影のために蔦温泉を訪れた折に控え室として使った部屋だったそうな。
 本館の他に、本館から60段の急な階段を上っていく昭和35年築の別館と、本館の西側に昭和63年築の西館があります。西館は全館に空調があり、旅行社などで売られる部屋はだいたい西館になるようです。一方、本館と別館は空調などありませんから、冬は部屋の中でストーブを焚くだけで、廊下やトイレ、洗面所などはものすごく冷えます。今回も、いったん部屋に入ってしまうと外には出たくなるぐらい廊下などは寒く、こごえながら風呂へ行って、帰りはぽかぽかに温まってくるというのは、北国の冬の生活そのままという感じです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818123659.jpg 大正7年築の本館の廊下。

 西館1階の食事処で朝食を済ませ、荷造りをしながら部屋の窓から外を見ると、空には青空がのぞいています。これはいい天気になるかな?松山を発ってからずっと雨にたたられているので、そろそろ晴れてほしいところです。旅館の前の広場には、前日蔦温泉に到着したあとそのままナイトステイした蔦温泉始発の十和田湖行きのバスが停まっているのが見えます。僕もこれに乗って出発です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818123703.jpg 旅館前の広場。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818123707.jpg ▲大正7年築の本館とその裏のブナ林、その向こうに青空が見えてきた~♪。