晩秋初冬すてきなニッポン(その61;さよなら)
2008年12月6日、「はやぶさ・富士」。
東京と九州を結ぶ最後の寝台特急「はやぶさ・富士」が廃止になるのは2009年3月14日。このときから数えて約3ヶ月後のことですが、僕はその頃日本へ戻る機会はおそらくないので、この日が「はやぶさ・富士」とのお別れの日、見納めの日になりそうです。
そう思った僕は、「矢場とん」で夕食を食べ、名古屋駅周辺のクリスマスイルミネーションをしばし楽しんだあとで宿へ戻ってひと休みし、夜10時半になったところで再び名古屋駅を訪れました。もうすぐ下りの「はやぶさ・富士」がやってくるのです。
▲到着は22:45。あと6分ほどでやってくる。
土曜日の夜ということもあり、近郊各方面への電車が発着するホームには各乗車口に電車を待つ乗客の列ができています。しかし、これから「はやぶさ・富士」がやってくる3・4番ホームにはほとんど人影がありません。鉄道ファンの姿も少なく、カメラを抱えて待っているのは2、3人といったところでしょうか。ホームには寒風が吹きすさび、寒いです{{(>_<}}。
やがてホームに到着を知らせる放送が流れ、ゆっくりとヘッドライトが近づいてきました。以前「はやぶさ・さくら」に乗ったときには名古屋駅で短い停車時間中にホームに降りて先頭の機関車の写真を撮ったことがありますが、その経験からいくと、機関車の停車位置は4番線の岐阜寄りのはずれもはずれの暗い位置のはず。ヘッドライトが近づくにつれて、僕も4番線のはずれに移動します。
名古屋から「はやぶさ・富士」に乗った人はいたでしょうか。わかりません。ホームは閑散としたままであったことは間違いありません。機関車の前に陣取って写真撮影をするファンもわずか数人。
そんな駅の様子にはおかまいなしに、EF66-46号機は名古屋での2分間の停車時間で息を整え、関ヶ原越えに挑みます。旅はまだ始まったばかり。前途はまだ12時間以上残っています。
そんな駅の様子にはおかまいなしに、EF66-46号機は名古屋での2分間の停車時間で息を整え、関ヶ原越えに挑みます。旅はまだ始まったばかり。前途はまだ12時間以上残っています。
22:47、僕にとっての最後の「はやぶさ・富士」のドアが閉まり、がたんと一揺れしたのちにゆっくりと動き始めました。青い車体が闇の中へと流れ去り、最後に赤いテールランプが長い帯を引きました。さよなら「はやぶさ・富士」。がんばれ「はやぶさ・富士」。終点大分・熊本はまだまだ先だ。テールランプが見えなくなるまで、僕はホームでじっとそれを見送りました。