毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「日本海」でいったりきたり(その9;ふるさと三戸)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122843.jpg ▲IGR7000形車両の車内。ロングシートボックスシートが同居してます。

 2006年11月23日、岩手青森の県境を越えて。

 小繋から乗ったIGRいわて銀河鉄道の八戸行き普通列車4531Mは、ロングシートボックスシートが交互に並んでいます。車内に乗客は少なく、快晴の陽光が射し込んで、休日の昼下がりのけだるくのんびりとした空気が漂っています。今や過疎ローカル線と化してしまったかつての大動脈東北本線のなれの果ては嘆かわしい限りですが、のどかな気分で旅ができるのはそれはそれで一興です。

 映画「待合室」には、何度か登場人物たちがこのボックスシートに腰掛けているシーンが登場します。人生に行き詰まり悩みを抱えてこのシートに沈む人、母のこさえたおにぎりをこのシートに座って涙を流して食べる人……列車の行き交いとはさまざまな人生の行き交いなのですね。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122848.jpg ボックスシートでのんびりと。

 小繋駅には昼間は駅員さんが詰めているので、乗車前に窓口で切符を買うことができます。「三戸まで一枚ください」と言ったら、定期券を作るようなハンコをたくさん使って、大きな「普通乗車券」を作ってくれました。IGRいわて銀河線内なら硬券のような切符が準備されているようですが、青い森鉄道に乗り入れる場合はこうしていちいち手作りをするようです。県境を越える利用客はあまりいないということでしょうか。車内補充券とはまた違う切符は旅の思い出の品になりました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122840.jpg小繋駅でハンコをぽんぽんと押して作ってくれた三戸までの乗車券。

 小繋の手前で十三本木峠を越えた列車は小繋から小鳥谷、一戸、二戸、斗米、金田一温泉とゆるゆると勾配を下り、県境を越えて青森県に入ります。青森県に入って最初の駅が目時。そしてその次が僕の生まれ故郷の駅・三戸駅です。左手に僕が2年生まで通った三戸小学校が見えてきて、それから桜の美しい城山の脇を抜け、太子納豆でおなじみ太子食品の工場がたもとにある住谷橋を遠くに見ながら馬淵川にかかる鉄橋を越えると速度が落ちて、三戸駅に到着です。ああ、なつかしい。東京に就職して以来降り立つことのなかったこのホームに、万感の思いで降り立ちます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122901.jpg ふるさと三戸駅。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122857.jpg ▲確か僕が三戸に住んでいるときに駅舎が建て変わった記憶あり。この駅が僕の原点(←おおげさ)。