厳冬の中国最北端をゆく（その17；モンゴル文字）

▲「ハイラル－満帰」のサボ。この列車に乗る機会はなかなかないよ～(^^)。

　2007年1月8日、満帰駅発車。

　まだ夜の明けぬ満帰駅を、4182次列車はゆっくりと出発しました。外の空気は凍てついていますが、始発駅を出たばかりの列車の車内も同じように凍てついています。デッキ周りの鋼材はなにやら真っ白。よく見ると表面に霜が降りたように凍り付いて真っ白になっているのでした。さむ～～。

真っ白に凍ったデッキ。

　ようやく夜が明け始め、空が明るくなってきました。明るくなってきて見えてきた車窓の景色は、一面の冬枯れた森林の連続です。夏にはおそらくあおあおとした豊かな緑に染まるこの一帯もこの酷寒の時期には灰色のかたまりとなってうずくまっています。
　我々は、駅では普通座席車の切符しか売らないのでそれを買って乗り込みはしましたが、列車の中には補充切符売り場というものがあり、そこで切符をアップグレードすることができます。4182次列車は8輌編成。先頭車が8号車で8～3号車が硬座（普通座席車）、2号車が硬臥（三段式開放寝台）、1号車が荷物車でした。この2号車の寝台車というのは、本来は乗務員の休憩用です。中国の列車には車掌だけではなく（おまけに車掌は一両に一人ずついる）、車掌長、車内販売員、保守技術員、鉄道警察、ボイラーお湯沸かし係、車内放送のアナウンサーなどなどむちゃくちゃ大勢の乗務員が乗っていて、その人たちが休憩するために必ず専用の寝台車が一両付いています。ここには一般乗客は入れないのですが、4182次列車のように編成が短く食堂車もないような列車だと、全乗務員が寝台車に集まっても寝台が余ります。その余った寝台を乗客に売るのですね。そこでわれわれも満帰を発車するや否や補充切符売り場のおじさんにかけあって、さっそく寝台券をゲットし、2号車に移りました。通路に「粛静　乗務員急速」と書かれた布がカーテンのようにかかっていて、そこから先は乗務員用ですが、手前は一般乗客に売り出された区画です。朝早い出発なので、寝台をゲットした人々はさっそく寝台にもぐりこんで、毛布をかぶってぬくぬくと寝ています(^^)。

大森林地帯を行く。

一般乗客も乗れる乗務員用寝台。

　4182次列車は、阿烏尼、阿龍山、牛耳河と各駅に停まり、やがて08:27、金河駅に到着しました。大きい駅というわけではありませんが、しばらく停車時間があるようなので、ちょっとホームに降りてみます。このあたりは内蒙古自治区なので、駅名標の駅名はモンゴル文字の表記も書かれています。モンゴル国で使われているキリル文字ではなく、伝統的な縦書きの蒙古文字です。

満帰から2時間、金河到着。

駅名にはモンゴル文字も。

　先頭まで行ってみると、牽引を担当しているのはもうすっかりおなじみ「東風4型」ディーゼル機関車。車体はオレンジ色で、冬景色に映えます。車番はDF4-1746号機。車側の通気のためにあるスリットのところはあまりに冷たい寒気が入るのを防ぐためか大きなふとんのようなものがかけられています。ふとんをかぶって走るディーゼル機関車なんてそうしょっちゅうは見かけないと思いますぞ(^^)。

▲4182次列車を牽引する「東風4型」ディーゼル機関車DF4-1746号機。