毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

厳冬の中国最北端をゆく(その15;大森林を突っ切って)

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          ▲漠河県から満帰へ向かう林道の途中にあった「記念碑」。

 2007年1月7日、満帰鎮。

 黒龍江源流近くの集落・洛古河村でのランチも終わり、漠河を離れる時間がやってきてしまいました。まずは漠河県の中心地、つまり漠河県駅がある町まで引き返し、我々一行3人のうち1人はもう少し黒龍江沿岸の中露国境地帯が見たいからと言ってそこに残り、僕ともう1人は更に車で南下して「満帰」という町まで今日中に移動する必要があるのです。

 さあそれではここで再びYahoo!Japanさんから地図を拝借しましょう。

 この地図の上の端のほうに左右に描かれているピンクの線が中国とロシアの国境、イコール黒龍江の流れです。その国境の真ん中へんに「漠河Mohe」とありますがここが前日泊まった北極村。今いるのはそこから左へ行った「Luoguhe」と記されているところ。地図の中央あたりに「古蓮Gulian」とありますが、ここがだいたい漠河県駅のある場所で、まずはここを目指して行きます。それから地図の中央下の端あたり、「Mangui」と記されているところが「満帰」で、この日の最終目的地はここであります。


 距離的にはそれほど遠いわけではないのですが、まっすぐ行ける道がないこと、道が狭く場所によっては舗装されていない、あるいは雪道になっているなどで、かなり時間がかかります。漠河県駅の町へ戻ったときにはもう午後5時近く、日も暮れかけていました。
 居残る1人とガイドさんを町の中心部にあるホテルと旅行社に送り届けて、再び出発。すでに日は暮れ、氷祭りの会場に作られたいくつもの氷像にライトが点り始めました。

 この二日間ずっと行動をともにしてくれた運転手さんの愛車は赤い三輪車。大興安嶺の森林の中を爆走します。漠河県から満帰までの道は、ひたすら森の中を走る林道です。街灯は一切なく、ほのかな月明かりがあるだけで、その月明かりも樹木の陰に隠れがちで、そうなると周囲はもう真っ暗。ヘッドライトだけが頼りです。何百メートルかおきに、路肩に「会」という一文字の標識が現れます。車両がすれ違うために路肩に寄るスペースが設けられた場所です。道が狭いということと、ここを走る車両の多くが木材を運搬する大型トラックだということから、すれ違うスペースを頻繁に設けなければならないのです。実際、こんな夜にも拘わらず、何度も木材の大型運搬車とすれ違いました。このあたりは林道が網の目のように張り巡らされているようです。

 車内はしんしんと冷えてきました。エアコンなどないので、車内は外気と同じ程度に冷え込んできます。窓はとっくに凍結しています。実はこの日の夜の最低気温がマイナス39℃だったようです。座席にじっと座っていると本当に体が凍ってしまいそうになります。
 道々、検問所に遭遇します。木材の密伐採に目を光らせているようで、我々のような小型車は問題なく通過できます。でもだいぶ走ったところで、ちょっと停まってひと休み。光があればダイヤモンドダストがよく見えただろうなと思うような、水蒸気も一瞬で凍るような寒気が地上を覆っています。
 そこで見つけたのは、「記念碑」。天然林保護プロジェクトを2001年に実施したときの記念碑のようです。大興安嶺では80年代に未曾有の大規模山火事を経験しているので、天然林の保護や防火にはことさらに力を入れているのでしょう。
 停まっていても走っていても同じ寒さなら早く移動したほうがまし。またすぐに走り初めて、漠河県から約3時間、洛古河村からだと5時間以上走って、ようやく満帰の集落に到着しました。時間はもう夜9時になろうとしています。運転手さんも一泊して明朝戻ったらと勧めましたが、日付の変わらないうちに帰ると言って引き返していきました。あの真っ暗で極寒の道をまた3時間も運転するのは容易ではないでしょう。

 すっかり凍り付いてしまった我々は、ホテルの宿に荷物を置いて、食事をするために、すでにマイナス30℃にはなっていると思われる外に出ます。さみぃぃぃぃぃ~~(x_x)。
 満帰は漠河県より小さい町。しばらく歩いてようやくまだやっている食堂を見つけて入ります。こんなに寒い日は鍋に限ります。一人に一つずつ固形燃料を使う小さい鍋が出てきて、これに羊肉やらなんやらかんやらを入れて食べます。スープは辛めにして、調味料をこしらえて、鍋がぐつぐついってきたならば、いただきま~す!!(^O^)。一気に凍結した体がゆるみました。おいしい~~。下の写真、右下がカラいスープの入った鍋、左上が羊肉のスライス、右上に見えるステンレスのレンゲが入った小さいお椀は調味料で、ごまだれ、ニラをすりつぶしたもの、そして豆腐を発酵させた塩辛い調味料「腐乳」の3種類が並んでますね。さて、がつがつ食べますよ~~(^^)。

イメージ 2 ▲満帰で食べたあつあつの鍋。