毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

厳冬の中国最北端をゆく(その10;最北端の村の朝)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818130737.jpg ▲中国最北端の村に朝の訪れ。家々からはそれぞれに煙が立ち上ります。

 2007年1月7日(日)、

 中国最北端の村での一夜が明けました。

 前夜は「中国最北端の宿」に泊まったのですが、寝台がオンドルになっている部屋がいくつかあり、オンドルの上がり口のところに炉があってそこで石炭を燃やし、熱をオンドルの中に送り込みます。外気はすでにマイナス30℃ぐらいになっていますが、オンドルのおかげでかけぶとん一枚ぐらいで寝られます。ぬくぬくです。しかし気をつけなければならないのは一酸化炭素中毒。なのでちょこっと扉と開けたままにしておきます。

 宿の中の電気は午後11時過ぎくらいで停まってしまいます。翌朝にならないと電気は来ません。我々はこの日は到着が遅かったのでまだ寝支度もしないうちに電灯が消えてしまいました。あとはロウソクの明かりが頼りです。寝支度と言っても、ポットのお湯を備え付けの洗面器にとって顔を洗う程度です。
 寝る前に、持ってきたウイスキーをホーローびきのマグカップに注ぎ、満天の星を見上げながら最後に一杯。あまりの寒さにウイスキーも凍らんばかりでしたが、澄み切った氷のような空気は実に爽やかでした。

 さて、明けて1月7日、中国最北端の村に遅い朝がやってきました。外に出てみると、一面真っ白い雪原で、少し離れたところに民家のかたまった集落が見えます。煙突からは煙が立ち上っており、まさに朝餉の支度中でしょうか。なんかこう、すがすがしい感じがしますですね(^^)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818130732.jpg 極北の朝は遅い。

 中国最北端の村はいちおう観光地になっていて、運がよければオーロラも見られるし、1997年のヘール・ボップ彗星接近時には高緯度のほうがよく見えるということで天文ファンがこの村に殺到したりもしました。しかしなにしろもともとが貧しい田舎の農村ですから、観光客を受け入れるインフラはまだまだ進んでいません。観光客の大部分は最北端の駅がある漠河県の中心部に宿泊し、最北端の村には日帰りでやってきているのではないでしょうか。

 そんなわけで、最北端の村には木賃宿程度の宿しかありません。僕たちが今回泊まった宿もそうで、水場もなければ電気も停まり、トイレは外。それでも温かいオンドルの上で過ごす一夜は快適です。それになんと言ってもこの宿は中国最北端の宿。数年前に新しく建てたと見え、ログハウス風の造りはなかなかおしゃれですし、中もきれいです。宿を出たすぐ前は黒龍江。今はすっかり凍結していて雪原のようにしか見えませんが、春になればここはとうとうと水の流れる大河です。そこに「中国最北点」と刻まれた機の標識を見つけました。黒龍江を渡った対岸はもうロシアです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818130742.jpg 中国最北端の宿。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818130748.jpg ▲宿の前には黒龍江に面して「中国最北点」の標識が。ああ、ここが中国の北のはずれなのである。