毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

麻婆豆腐レポート⑤(ついに蜀の桟道へ)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025509.jpg ▲三日ぶりに列車を降りて最初の朝ごはんはパオズと麻辣米線。


 2007年4月19日(木)、広元到着。

 列車は三日目の朝を迎えました。秦嶺山脈の厳しい峠越えを深夜のうちにやり遂げて蜀の国に入った列車は、嘉陵江沿いの険しい鉄路を淡々と南へ向けて走り続けています。こちらも6時に起き出して降りる準備。車掌さんがやってきて、乗車時に預けた切符を返してくれます。今回はこの車掌さんのおかげでいつにも増して楽しい車中を過ごすことができました。瀋陽鉄路局所属でK388/K385次列車に乗務してもう三年ということなので、瀋陽辺りでまた会えるといいな。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025456.jpg 朝06:38、広元に到着。

 列車は6時半過ぎに下車駅・広元に到着。2,557㎞を走りきりました。瀋陽や北京に比べるとかなり西に来ているので日の出はもっと遅いかなと思っていたのだけれど、6時半でもうすっかり明るくなっていました。
 写真を撮り納めようと先頭へ行くと、機関車の付け替え中。ここまで牽いてきた機関車はもう離れたあとだったので何が秦嶺越えをしたのかわからないけれど、ここ広元からは「韶山3(SS3)型」電気機関車のSS3-4072が担当。1979年から製造され、中国鉄路の電化の最も早い段階に活躍したこの電気機関車、ライトグリーンの角ばった箱型ボディーに白と茶色を配したマーキングはまさに古豪と呼ぶにふさわしい古びかたであり風格であります。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025501.jpg ▲古豪「韶山3(SS3)型」電気機関車

 瀋陽北から乗り通してきたK385次列車が成都へ向けて走り去るのを見届けたあと、まずは駅前の安宿に入ってデジカメを充電。その間に次に乗る列車の切符を買いに出かけます。その日の午後出る成都方面行きの切符はすぐに買え、充電も一時間ほどで済んだので、宿を引き払っていよいよ「蜀の桟道」へ向かいます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025505.jpg 既に日は高く。広元駅。

 あ、そうだ、その前に朝ごはん。

 駅前にはさまざまな小さな飯屋が軒を連ねています。鉄道の駅も長距離バスターミナルも隣接しているので、広元に出入りする人々のほとんどはこの駅前へ集まってくるのではないでしょうか。ですから駅前の食事情は極めて良好です。
 さてこの日の朝食べたのは、まずは「包子(パオズ;にくまん)」。ひとくちサイズのにくまんが小さいせいろに10個入って2元(=約30円)。それからまたも「麻辣米線(ピリ辛スープビーフン)」。ここのビーフンは色が黒めでかなりの歯ごたえ。同僚は朝から玉子チャーハン。これで腹ごしらえばっちり。

 さて、蜀の桟道―――後漢滅亡後、劉備四川省のあたりに221年に立てた国・蜀。蜀は263年に二代で滅びます。この蜀の国へ都・長安から入るには極めて険しい秦嶺山脈を越え、断崖絶壁の続く嘉陵江に沿って行かねばなりません。この断崖絶壁には道がなく、切り立つ岸壁に穴をあけて丸太を差し込み、そこに板をわたして道を造ったのが「蜀の桟道」です。その険しさは、唐の詩人・李白の「蜀道難」という詩にとくと詠み込まれています。

 詩のほうはあとで紹介するとして、広元から北へ25㎞ほど行った嘉陵江の切り立つ断崖に、蜀の桟道の中でも最も険しい道の遺構「明月峡古桟道」があります。今回の目的地はそこ。タクシーをチャーターして広元駅前を出ると市街地はすぐに途切れ、車は嘉陵江東岸にできた新しい自動車道を飛ばします。東岸が道路、西岸には鉄道、どちらも切り立つ絶壁に寄り添うように川の流れに合わせて右へ左へとゆるやかにくねりながら続いています。

 そうしてやってきたのが明月峡古桟道の入口。ここは観光スポットとして桟道が復元されているのです。さあ、入ってみましょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025513.jpg 復元された古桟道の入口。

【参考:19日の停車駅(実際に乗車したのは広元まで)】
 略 陽  03:01着  03:04発  2,422㎞
 広 元  06:38着  06:50発  2,557㎞
 江 油  09:29着  09:36発  2,719㎞
 綿 陽  10:14着  10:20発  2,761㎞
 徳 陽  11:07着  11:15発  2,815㎞
 成 都  12:15着         2,876㎞