毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「日本海」でいったりきたり(その4;有戸ってのは風の町だね)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122616.jpg ▲「風」の標識が大湊線の厳しさを物語る(有戸駅にて)。

 2006年11月23日、大湊線

 青森を07:10に発車した八戸行き普通列車566Mは、大湊線の起点・野辺地駅に定刻07:53に到着しました。しかし、到着前の車内放送で無情にも「大湊線は強風のため運転を見合わせています」との案内が。大湊線五能線は強風でしょっちゅうウヤを出しますが、自分が出かけるときにそれに遭遇するとは運がいいやら悪いやら。

 野辺地からは代行バスがあるということですが、これから先の時刻がどう変わるのか見通しが立たないので一瞬悩んだものの、とにかく野辺地07:58発大湊行き723Dに替わる代行バスに駅前で乗り換えます。向かったのは有戸駅。列車だと野辺地から10分で着くところですが、このときはバスでどのぐらいかかったでしょうか。

 国道279号線にあるバス停で降ります。降りるなり襲いかかるとんでもない暴風!!すごい風です。駅があるであろう国道の東側へ続く小道を歩こうとしますが、風が強すぎてよろけてしまいます。まっすぐ歩けません。民家が屋根を飛ばされずもせずだまって立っているのが不思議なくらいの強風です。これでは列車が運休になるのも当たり前です。あーーっ、歩いても歩いても前へ進みませんっ!(T_T)

 暴風と格闘することしばらく、ようやくJR大湊線有戸駅にたどりつきました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122624.jpg やっと有戸駅に着いた。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122612.jpg 風が止むまで列車は来ない。
 
 ホームに上がります。もちろんすごい風です。暴風です。風にあおられて線路に転げ落ちそうです。それにものすごく寒い。体感温度はかなり低いです。ホームの橋にはズバリ「風」の標識。「風に注意」ということでしょうか。注意と言われましてもねぇ……(^_^ゝ。しかしこの風の強さを写真ではお伝えすることができないのは残念です。信じられないほどの暴風が下北半島の付け根を横殴りに吹き抜けていたのです。「有戸ってのは風の町だね。」これはもちろん、太宰治の小説「津軽」に出てくる「蟹田ってのは風の町だね。」のもじりですが、蟹田より有戸のほうがずっと風が強い気がする~~。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122619.jpg 待合室へ退散したい。

 ホームの中程にある小さな待合室へ入って風から体を守ります。しかしこの小屋のような待合室もいつ吹き飛ばされてもおかしくないほどの暴風です。周辺には民家も点在していますが、休日の午前8時台、誰も外へ出ている人はいません。あたりまえです。こんな暴風の日に誰も外に出たくなんかないわい。

 駅にいても列車がやってくるわけではありません。意を決して国道へ引き返します。よろよろと風にあおられながら国道へ戻り、更によせばいいものを国道を渡って西側の草地へ入り込み、海岸線へ出てみました。
 ををを~(>_<)、荒れてます。陸奥湾、大荒れです。下北半島方面には雲の切れ間があり青空も少しのぞいていますが、南西方向野辺地夏泊半島方面はどんよりと暗く曇った冬の空。ぼんやりと見える野辺地の向こうの山の稜線から、地鳴りのような津軽三味線の音が哀しげに聞こえてきそうです。あーー、こんな日に来るんじゃなかった(T_T)。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122629.jpg 下北半島方面には青空も。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818122634.jpg有戸駅近くの海岸線から見る野辺地・夏泊半島方面はみちのくの冬の到来を思わせました……