毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

麻婆豆腐レポート③(食べ過ぎ)

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▲邯鄲駅のホームに満開の花が。


 2007年4月18日(水)、K388/K385次列車車内。

 夜行列車の揺れに身をまかせつつ真っ暗な車内でぐっすり眠り、二日目の朝を迎えました。

 中国の夜行列車、特に硬臥車は、夜は消灯により強制就寝させられますが、朝も強制起床の儀式があります。それは朝6時半、車内放送のスピーカーから高らかに流れる「ぢょんやんれんみんぐぁんぼーでぃえんたぁぁぁーーいしんうぇんりぇんぼーじえむぅぅぅぅ」。これではなんだかさっぱりわかりませんね。漢字で書くと「中央人民広播電台新聞聯播節目」。「中央人民ラジオ局ニュース番組」という意味なんですが、そうです、あたかも我々が夏休みに朝のラジオ体操へ行かされるように、朝6時半のラジオニュースで否が応でも起こされるのです。まあ日本の寝台特急だって朝になれば「おはよう放送」があるので同じと言えば同じなのですが、日本の「おはよう放送」はまだ寝ている人にも配慮しつつ慎ましやかなのが基本なのに、こちらは番組の冒頭になんの遠慮もなしに番組のテーマ曲である元気はつらつな革命歌が流れるので、これで起きないほうが不思議です(まあもちろんあとで二度寝するんですけど)。

 目は覚ましてもしばらくぐずぐすしながら時間をやり過ごし、ようやく8時過ぎ、河北省の省都・石家荘を出た頃になって起き出すと、窓の外の景色は春真っ盛りのように青々として、そこここでナノハナがかたまりをなして咲いているのが見えました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025341.jpg 沿線のナノハナが春を演出。

 朝になっても降りる駅はまだまだ先なので、列車の中は朝のけだるさがあるだけで、降りるために身支度を調えるなどの慌ただしさはありません。夜行列車で朝を迎えてもまだ今日一日降りなくてもいいんだなあと思えるなんてしあわせだと思いませんか?(笑)

 周りの乗客たちは思い思いに朝食を食べたり二度寝に突入したりしています。食事でいちばん多いのはやはりカップラーメン。寝台車には各ボックスごとにひとつずつポットが備え付けられているし、お湯がなくなれば車端部にある給湯器からお湯が汲んでこられるし、お湯だけは無料で豊富にあるので、つい食事は手軽なカップラーメンになってしまいます。僕は朝食抜きですが。
 
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▲「韶山8(SS8)」型電気機関車でポーズをとってくれた運転士さん。

 10時ちょっと前に邯鄲到着。北京鉄路局石家荘鉄路分局から鄭州鉄路局鄭州鉄路分局へ入る境界に近い大きな駅なので、12分の停車時間を利用して機関車の交換があります。ここから先は「鄭局鄭段」所属の「韶山8(SS8)」型電気機関車のSS8-0007。先頭へ行って写真を撮っていたら、運転士さんが笑顔で「おや、一緒に撮ってくれないのかい?」とポーズを取ってくれました。こういうことがあるととてもうれしいです。
 邯鄲駅のホームには満開の薄紫の花をつけた背の高い木が。河南省から陝西省にかけて、鉄道沿線からはこの満開の花の木が至る所に見られました。何の花なのか乗務員に聞いても要領を得ず、今に至るもこの花がなんなのか、この木がなんの木なのか判明していません。どなたかご存じありませんか?

 11時を過ぎると、「食堂車やってます、いらっしゃーい」という放送が。
 食堂車は値段が「バカ」がつくぐらい非常に高いのですが、しかし日本では食堂車はそう気軽には利用でなくなったので、これは一度ぐらいは体験したいもの。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025350.jpg そんなわけで、食堂車。

 そんなわけでやってきました12号車の食堂車。まだ12時前ですがそれなりに客がいて相席せざるを得ません。今回は職場の同僚と一緒の旅だったのですが、注文したのはまずは昼から缶ビール、それからホイコーローチンゲンサイとシイタケ、ニンジンなど野菜の炒め物、ごはん。移りゆく景色を眺めながらの食事はやっぱりいいものです。 

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025354.jpg 魚料理は向かいのおじさんの。

 食事も済んで自分の車両へ戻ると、既に河南省に入った列車は新郷に到着。どの駅でも比較的停車時間が長いので、駅に着くと乗客たちは思い思いにホームへ下りてタバコを吸ったりワゴンで買い物をしたり外の空気を吸ったり背伸びをしたりします。すると、昼時だからか、普通の飲料や食品を扱うワゴンの他に、弁当を扱うワゴンを発見!行ってみると、弁当だけでなく、大きなフライパンで焼いた「煎餅」という(「せんべい」ではない)クレープのようなホットケーキのようなチヂミのようなものや、あつあつの焼きそばも売っていたので、ついさっき食堂車で食べたばかりなのに、焼きそば(一つ3元(=約45円))を買ってしまいました。これがまたおいしかったのよ!

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025402.jpg というわけで、新郷駅の焼きそば。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025358.jpg 焼きそばや弁当などを売るワゴン。

 ところが、焼きそばを食べていると車掌さんがやってきて(中国ではだいたい一両か二両に一人ずつその車両を担当する車掌さんがいます)、「その焼きそば、そんなにおいしくないだろ。本格的じゃないもんな」などと言います。「そんなことないよ、おいしいよ。本格的な焼きそばってどこにあるんだよ。ホームじゃこれしかなかったんだからしょうがないだろ」などと応酬。

 しばらくするとまた車掌さんがやってきて、「おい、もうすぐ黄河を渡るぞ」。
 おお、そうだった。列車は河南省省都鄭州に着く手前で黄河を渡ります。車掌さんの声に他の中国人乗客たちも窓際に鈴生り状態。ポプラなどの植林が進んだ長い河川敷を過ぎるといよいよ黄河。春先なのでまだ水は少ない印象ですが、黄土色にどろりと濁った水が東をめざして流れています。車掌さん曰く「鉄橋のコストもあるから、いちばん狭くなっているところに橋を架けるんだ。だから車窓から見える黄河は川幅が狭くてつまらないだろう」。そうは言ってもなかなかの広さ、ダイナミックでしたよ。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025407.jpg 黄河を渡る。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025411.jpg まだまだ水量は少ない感じ。

 そうこうしているちに鄭州に到着。河南省最大の中心都市なので停車時間も長く、14分停車。そしたらまたもホームで発見しました、「麻辣米線」のワゴン。「麻辣米線」とはピリ辛スープはるさめのこと。さっきの車掌さんも「鄭州名物だ、あれはうまいんだ」と太鼓判。これは食べないわけにはいかない。さっき食堂車でごはんを食べて、次に焼きそばも食べたけれど、でもこれも食べたい。一杯5元。あつあつ。すごいボリューム。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025416.jpg ほんでもって、麻辣米線。ホット。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190819/20190819025420.jpg はるさめを上に出してみました。

 さて食べ終わってみると……こりゃだめだ。胃がクルシイ。隋や唐の都が置かれ、龍門石窟で有名な次の停車駅・洛陽まではあと1時間半。それまで消化に集中するため昼寝する。おやすみなさい。




 【参考:18日の停車駅と瀋陽北からの距離】
  唐 山  01:22着  01:25発 601km
  天 津  02:40着  02:48発  724㎞
  任 丘  05:01着  05:10発  866㎞
  石家荘  07:53着  08:01発 1111㎞
  邢 台  09:19着  09:21発 1224㎞
  邯 鄲  09:53着  10:05発 1276㎞
  安 陽  10:55着  10:58発 1336㎞
  鶴 壁  11:23着 11:26発 1377km
  新 郷  12:07着 12:19発 1443km
  鄭 州  13:18着 13:32発 1523km
  洛 陽  15:01着 15:03発 1647km
  三門峡西  16:57着 16:59発 1792km
  霊 宝  17:23着 17:25発 1822km
  西 安  19:59着 20:07発 2034km
  楊陵鎮  21:03着 21:05発 2119km
  宝 鶏  22:04着 22:12発 2207km
  秦 嶺  23:07着 23:35発 2252km