毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

A列車で行こう!(最終回;終点瀋陽)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203523.jpg ▲A185次列車、後続列車に追い抜かれる。

 2008年8月24日22:36、終点瀋陽到着。

 トウモロコシ畑を眺めながら走ってきたA185次列車も、錦州を出る頃には闇の中。窓に顔をくっつけても明かりはほとんど見えず、時々並行する道路が近づいてトラックのヘッドライトが見えたり、踏切を通過するときに踏切番の小屋に灯る明かりが見える程度です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203519.jpg トウモロコシ畑ばかり。

 綏中から約5時間、あと30分ほどで終点に到着という頃、列車がホームもないところで停車しました。側線が何本か並んでいるので、おそらく信号所のようなところなのでしょう、優等列車による追い抜かれ待ちのようです。
 停車してすぐ、隣の線路を列車が駆け抜けていきました。どこ発どこ行きのかはわかりませんでしたが、かなり高速で追い抜いていきました。さあこちらも出発と思ったのですが、窓から顔を出すと見られる前方の信号がいつまでたっても青になりません。これはもう一本抜かれるなと思っていると、やがて後方からヘッドライトの明かりが近づいてきて、今度はわりとゆっくりしたスピードでこちらを追い抜いていきました。二本に抜かれてようやくこちらの発車です。

 それからようやく、窓の外に街の明かりが増えてきました。瀋陽市の中心に入ってきたようです。そして22:36、A185次列車は定刻どおりに終点瀋陽駅に到着しました。1910年に建てられた旧奉天駅の面影がそのまま残る今の瀋陽駅は、ホームに降り立つと、当時とほとんど変わっていないのではないかという雰囲気が漂っています。駅構内はほの暗く静まっており、なにやら最果ての終着駅に着いたかのような錯覚に陥りました。A列車に乗ってノスタルジーの世界へ……そんな旅が楽しめるのも、ここ瀋陽ならではでしょうか。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203530.jpg 閑散とする夜の瀋陽駅。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818203527.jpg ▲A185次列車、22:36定刻到着。ホームの雰囲気は1910年の奉天駅開業時と変わってない感じ……