毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

2008年夏、はやぶさ、薩摩三昧(その2;サークリング)

イメージ 1 ▲福岡空港に北からアプローチ。眼下には能古島。

 2008年7月10日、福岡空港RWY34。

 瀋陽を発った中国南方航空CZ643便福岡行きは、ずっと厚い雲の上を飛び続け、ようやく地上が見えたときはもう対馬上空。そろそろ高度が下がり始めます。

 西側海域から福岡空港へのアプローチは、対馬、壱岐上空を経て玄界灘を壱岐水道、博多湾と横切って北から入ります。北から着陸するのがRWY16、南から着陸するのがRWY34。福岡空港は国内でも有数の、大都会の都心部に位置する空港で、南側と東側には山地がひろがるという地形的特性もあり、北から入るRWY16アプローチのときは北からまっすぐ降りてくればよいですが、南から入るRWY34アプローチのときは、2004年まではRWY34にはILS(計器着陸装置)が設置されていなかったので、RWY16のILSに導かれて北から近づき、滑走路を左に見ながら空港のすぐ西側を低空で通り過ぎ、それから左に180度の急カーブを描きながら着陸する「サークリング」と呼ばれる着陸方法がとられていました。2004年にはRWY34にもILSが設置されたので、背振山あたりの福岡市西部から入って大きく余裕をもってカーブを描いて南側からアプローチすることができるようになりました。

イメージ 2 ▲能古島上空を過ぎ、室見川河口を右に見ながら今度をぐんぐん下げていきます。

 さて、僕の乗ったCZ643便は、能古島上空を過ぎ、室見川河口を右に見ながら高度をさらに下げ、右に旋回して、滑走路の北側延長線上に乗りました。このまままっすぐ降りていけばRWY16で北から着陸することになります。なるほど、この日は南風だから北から入るのだなと思いました。

 ところが。滑走路延長線上を下りていきながら、ちょっとだけ右に機首が向き、進路が少し変わりました。あれれ?と思っている間に、飛行機は超低空でびっしりとビルなどが建ち並ぶ福岡市の中心部をゆっくりと南へ飛んでいきます。僕が右側の席だったので見えませんでしたが、左には福岡空港の全景が見えていたことでしょう。

 ハテ、これはどうしたことでしょう。これはRWY34にILSが設置されていなかった頃のサークリングアプローチのコースのような。でも今はILSがあるからサークリングをしなくてもよいはずでは?と思っているうちに、左へぐぐぐぐっと急カーブを描いて180度向きを変え、機体が水平に戻ったと思ったらどすんと着陸しました。これはまさにサークリングアプローチ。

 その後、空港ビルの展望台でしばらく飛行機の離発着を眺めましたが、この日の着陸便は全部サークリングによるRWY34からの着陸でした。滑走路をはさんで向かい側にある国際線ターミナルの向こうを低空で南下していく着陸機がいくつも見えました。

 あとで調べたところによると、RWY34にILSが設置された後も、北風が強いときはサークリングによるRWY34からの着陸が行われているということでした。なーーんだ。それなら左側の席に座ればよかった。超低空で大都市上空を飛んで福岡空港を眺め、最後は大きなバンクをとりながらの急カーブの着陸が楽しめるなんて、福岡空港、なかなか楽しい空港ではありませんか!(^^)

イメージ 3 ▲福岡空港は大都市のど真ん中。ビルの密集する中心部を低空で飛ぶのはちょっとコワイ?(^_^ゝ