はじめての「SL冬の湿原号」⑤(稚内)
2005年1月22日、稚内、朝6時。
まだ明け初めぬ稚内にはこの日も朝から強い風が吹き、前を向いては歩けないほどの地吹雪。それなのに何を好きこのんで外へ出かけてしまうのか。体を前屈みにして、歯を食いしばり、地吹雪に逆らうように歩いてやってきたのは稚内駅、最北端の線路。06:38発の名寄行き普通列車4326Dが出たばかりの稚内駅ホームは、とても無防備に地吹雪にさらされるがままになっていました。
標識「最北端の線路」もまだ暗く。
体が凍り付く前に宿に戻ると、ようやく白々と明けてきた窓の外には、防波堤ドームの向こうに荒々しく白い波頭を剥く海と、防波堤の内側には、出航していく06:50発礼文島行き東日本海フェリー13便の船が見えました。夏のシーズンなら「利尻」(今なら「はなたび利尻」ですか)から乗り継ぐ観光客やライダーたちを満載していくフェリーですが、こうして暴風雪が吹き荒れる酷寒の季節にも淡々と稚内と利尻礼文を結び続けている姿がそこにはありました。
早朝の防波堤ドーム、荒れる海。
礼文島行きのフェリーが出航。
稚内で過ごす時間はほとんどありません。09:35発の飛行機に乗らなければならないのです。どたばたと身支度を調えて宿を出ます。この頃はようやく風も雪もおおむね止み、明るさも増してきました。行きがけにもういちど最北端の線路へ行き、07:37発3032D特急「スーパー宗谷2号」が出発を待っている稚内駅をちらりと眺め、それから空港へ向けて出発しました。初めて見る新型261系気動車の「スーパー宗谷2号」はこの日は6両編成。いつか乗ってみたいものです。
朝を迎えた日本最北端の線路。