毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

「まりも」に乗って道東へ(最終回;お別れは根室中標津)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818114503.jpg標茶町虹別に沈む夕日。

 2006年1月22日、標茶町虹別。

 列車を標茶駅で降りた僕は、駅まで迎えに来てくれた宿の車に乗ってこの日の宿へ向かいます。標茶駅からも摩周駅からも車で約25分の標茶町虹別にあるこの一軒宿の建物はジョージアンスタイルの英国風マナーハウス(貴族の館)。宿泊用の部屋は全館で8室しかなく、北海道らしいなだらかな曲面の続く大地で雑木林に囲まれて静かに過ごすことのできるなんとも贅沢な宿です。冬でなければ釣り、乗馬、カヌーなどのアウトドアレジャーも楽しめるそうですが、厳冬期は雪に降り込められ、室内で暖炉の火にあたりながら読書や音楽を静かに楽しむのがよいでしょう。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818114448.jpg 虹別の雪原の中の一軒宿。

 チェックインを済ませて部屋に荷物を落ち着けると、窓の外の雑木林の向こうに日が沈もうとしています。さっそく外に出て、夕日を眺めに行きました。前日釧路湿原駅前の細岡展望台から眺めた夕日とはまた違う美しい夕日が、空を夕焼け色に染めながら、雑木林の向こうの雪原へ沈んでいきます。気温はみるみる下がってきているようで、カメラを持つ手もかじかんできましたが、夕焼け色から夜色へ色を変えていく空と沈みゆく夕日を心ゆくまで堪能しました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818114445.jpg 部屋の窓から。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818114452.jpg 雪原、林、そして青空。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818114456.jpg ▲北海道の冬の日の短さと言ったら、傾きかけたと思うとみるみるうちに沈んでいきます。

 この宿の食事がまた素晴らしく、北海道の地元産の素材を丁寧に調理して作り上げる品々はどれもおいしく、またワインリストも充実していて、厳冬の北海道の長い夜を誰に急かされることもなくゆっくりと食事に充てることができます。食後には、さらにお酒を楽しめるバーカウンターがまた充実していて、僕にとっては特に英国アイラ島シングルモルトの充実ぶりがすごくうれしかったです。

 とっぷりと暮れてから、外に出てみました。気温はすでに氷点下20℃になんなんとしており、冷気はまさに肌を刺すようです。しかし、見上げると満天の星!澄み切った空気の向こう、天空いっぱいに、信じられないほどたくさんの星々が散らばっています。思わず雪の上に寝っ転がって仰向けになって寒さを忘れて星々を鑑賞してしまいました。

 翌日も快晴の朝を迎えました。昼に空港まで送ってもらうことにして、朝食のあとのんびりと付近を散歩します。冷え込んでいますが、天気がよいので気持ちよいです。雪原に反射する日光に目を細めながら歩きます。北には標津岳、斜里岳、そして摩周湖を囲むカムイヌプリの稜線を遠くに眺めることもできます。
 そんなのんびりした虹別の滞在ももうおしまい。また宿の車に乗って中標津空港まで送ってもらいました。13:25発の羽田行き全日空ANA840便に乗って東京へ帰るのです。特急「まりも」の暖房故障事件から始まって、納沙布岬、「SL冬の湿原号」、茅沼のタンチョウヅル、虹別の夕日と、たった3泊4日でしたがとても充実した旅を楽しむことができました。やっぱり冬の北海道はいいですね。何回でも来たいです、冬の北海道(^-^)。


https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818114517.jpg ▲もうすぐ羽田到着。霞ヶ浦を眼下に見ながら高度を下げます。関東も雪景色でした。