毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

中国鉄路あっちこっち(吉林省白城;つづき)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202033.jpg ▲中国を代表するカマ「東風4」型が並ぶとかっちょええなあ(白城駅にて)。

 2006年9月20・21日、吉林省松原市と白城市。

 吉林省松原市にある「チャガン湖」へやってきました。松原市の北西、黒龍江省にもだいぶ近いところにあるチャガン湖は、この湖(最深部6m、平均深度2.5m)を中心に昔から湿地帯が広がっていて、1986年からは自然保護区に指定されているところだそうです。地図には「査干湖」または「査干泡」と記されています。音の感じから「チャガン」というのはモンゴル語由来ではないかと思うのですが、確認していません。ただ、チャガン湖を示す石碑にはモンゴル語も併記されています。このチャガン湖のほとりに立ったのは午後5時半頃。北緯45度と少々緯度が高いこともあり、そろそろ夕日になってきています。
 ここでは、太くて立派な竹を組み合わせて作った筏に乗って湖上を遊覧することができます。葦の茂みをかすめながら、波一つ立たない穏やかな水面を静かに滑るように進んでいくのはなかなかおもしろいです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201947.jpg チャガン湖のほとりにて。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202005.jpg チャガン湖にもそろそろ夕陽が。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202010.jpg 竹を組んだ筏で湖面を遊覧。

 さて、白城に移動して明けて9月21日、仕事を終えて、瀋陽へ戻る列車に乗ります。乗車するのは白城発14:21のN106次列車。
 白城市は西部を内蒙古自治区と接しており、白城から内蒙古自治区へ入ってすぐにウランホト(烏蘭浩特)という大きな街があります。N106次列車はこのウランホトが始発で、終点は大連です。ウランホトから大連までは1,118km、このうち僕は白城から瀋陽北までの635kmに乗車します。白城から瀋陽北までの所要時間は9時間54分です。

 白城駅は、どうしてこういうデザインになるのかさっぱりわからんのですが、モスクのような宮殿のようなあやしげな造り。ま、中国にありがちな建物と言ってしまえばそれまでですが。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202015.jpg あやしげデザインの白城駅。

 ホームに下りて待つことしばし。N106次列車は13:57に白城に到着です。停車時間が24分もあるのです。今日も牽引は「中国といえばこのカマ!」の「東風4」型ディーゼル機関車、しかも東北地方ではもっともおなじみのオレンジカラーです。隣のホームに入っている列車のカマも同じオレンジカラーの「東風4」型。これが並んでいるのはなかなか壮観です。こちらが乗るN106次列車の牽引はDF4-2351機、おとなりはDF4-2203機が先頭に立っています。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202030.jpg 大連行きの牽引はDF4-2351。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202022.jpg 始発は内蒙古のウランホト。

 さあ、列車は白城を出発です。1,000km以上を17時間かけて走る列車ですから、寝台車もついています。僕は「硬臥車」と呼ばれる日本で言えば開放3段式B寝台に乗車し、窓を開け放って、車窓を流れるトウモロコシ畑や水田を眺めながら進みます。このあたりは東北大平原なのでトンネルはまったくと言ってよいほどありません。雄大な大陸を体感できる区間です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202043.jpg 窓を開け放ち風を受けながら。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202038.jpg ▲「世界の車窓から」っぽくなったかな?オレンジ色の「東風4」型がのんびりと牽引していきます。

 列車は東へとゆっくり走り、長山屯駅16:09、松原駅16:36と停車していきます。松原は前日訪れたところ。松原市の中にはモンゴル族自治県もあり、比較的モンゴル族が多い地域です。真夏にはこの平原でモンゴル族の人たちが騎馬で駆けめぐったりするのでしょうか。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818202048.jpg 長山屯駅。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201952.jpg 松原駅は少々大きい。

 午後5時を回って、夕陽はすでにかなり傾き、やがて地平線の向こうへと沈んでいきました。360度、どちらを向いても地平線が見える一帯を列車はゆっくり走ります。
 そして18:51、吉林省省都長春に到着しました。ここからは進路を南に変えて、大幹線を下ります。15分停車のうちに息を整えたN106次列車は、19:06、静かに長春のホームを離れました。下車駅の瀋陽北駅到着は日付の変わった00:15。せっかく寝台車に乗っているのだし、下車駅が近づけば必ず車掌さんが起こしに来てくれますから、一眠りといきましょうか。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201956.jpg ▲だいぶ長春に近づいてきたあたりで夕陽が沈んだ。