毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

清朝のはじまり(ヌルハチの生まれた家)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201756.jpg満族の生活ぶりを再現した家屋の中。オンドルに吊し式のゆりかご。

 去年(07年)の11月3日に記事を書いたきり続きがストップしているので、突然ですが再開します。去年9月に訪ねた遼寧省世界遺産「永陵」と清朝発祥の地「ホトアラ」の続きです。

 ホトアラ内城の中枢部を参観したあとは、その南に整備された広大な公園部分を見に行ってみましょう。

 のんびり一日がかりのピクニックに来るなら気ままに歩いて回ればいいかもしれませんが、残念ながらこの日は時間もあまりないので電動カートに乗って素早く移動します(^-^)。

 カートを降りて参観する見所は広大な敷地の中に点在しています。掘られたときの木枠が当時からそのまま残っているという「汗王井」や、先に見た「永陵」でも神樹とされていた大きなニレの木などを順番に見ていくと、敷地のだいぶ奥まったところにやってきます。そこには、当時の民家(農家)を再現した建物がありました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201801.jpg ヌルハチの生家(復元)。

 ヌルハチの生家を復元した建物のようです。庭には、清朝では神鳥とされるカラスの餌箱が立っています。黒レンガを積んだ瓦屋根の平屋の建物の中も、当時の生活用具(おそらくごく最近まで使われていたものとそんなには変わらないのだと思うのですが)も置かれていて、満族の風俗習慣をかいま見ることができます。満族は赤ちゃんを天井や木から吊したゆりかごに入れて育てる、満族の家の窓の障子紙は内側から貼る(つまり室内からは障子の桟が見えない)など、満族特有の風俗習慣があり、確かそれを「満族四大怪(満族の四大ふしぎ)」と呼んでいるようです。うろ覚えですが、上から吊すゆりかごは満族に伝わる古い故事伝説が関係しているらしく、障子紙を内側から貼るのは寒さの厳しい自然風土から来ているようです。室内は寝起きをするスペースが高くなっており、暖房はオンドル式が採り入れられています。オンドルに腰掛けて、ゆらりと揺れる吊りゆりかごをじっと見ていると、ここに生まれ、やがて王朝を興し、全国を制覇してゆく満族の歴史の発端のようなものが目に浮かぶような錯覚に陥りました。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201823.jpg カラスの餌箱の立つ農家。

 というところでお昼になりました。昼食は、やはりその公園の敷地の中にある食堂とも呼べないような一画の屋外のテーブルで「農家菜(農村料理)」を食べることにします。瀋陽市内を離れて郊外へ日帰りトリップに出かけると昼はだいたいいつも「農家菜」を食べることになりますが、どこで食べても、素朴でおいしく、野菜もたっぷりで、はずれたことがありません。そしてビールは地元撫順産の「天湖ビール」です。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201818.jpg ▲たっぷり「農家菜」。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201814.jpg ビール瓶を開けるには。

 ところで、ビールの写真でビール瓶に立てかけてある物体はなんだかわかりますでしょうか。木の棒に大きなナットがついた太いボルトが付いている物体です。実はコレ、栓抜きなんです。うまく使わないとじょうずに栓が抜けないけれど、木片とボルトとナットがあればアウトドアライフも安心という手作り工房的スグレモノです(^o^)。別にアウトドアライフをやってるわけではないのですが。というか、ここはいちおう食堂なんですけど。でも栓抜きはこれしかないんですけど。

 このホトアラ城址には詳しい説明付きで案内してくれるガイドさんがいます。満族の女の子で、満族の宮廷衣装を身にまとってにこにこ笑顔で案内してくれます。もともと満語はできなかったけれど、ここでガイドをするようになって少し満語を学び、ちょっとだけ満語を使った解説もしてくれるとのことです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818201810.jpg 案内してくれた満族のガイドさん。

 のちに中国最後の王朝となった清朝の発祥の地。みなさんもここを訪れて、中国の長い長い歴史の一隅に身を置いてみませんか?耳を澄ますと、遠くから騎馬の一軍が駈けてくる音が聞こえてくるかもしれませんよ。