毎日ヶ原新聞

日本全国、時々中国、たまにもっと遠くへ、忘れちゃもったいないから、旅の記録。

臼杵竹宵、秋の灯はほのかに⑪(しんぺい)

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113507.jpg真幸駅を右奥に見ながら勾配を登る。

 2005年11月7日、肥薩線

 嘉例川から乗ってきた普通列車4226Dは終点吉松に定刻どおりの11:38に到着しました。ここから11:42発の1254D「しんぺい2号」に乗り換えます。

 「いさぶろう/しんぺい」がまだキハ31形だった頃、一度だけ都城から吉都線で吉松へ来て「しんぺい」で人吉、急行「くまがわ」で熊本へとつないだことがありますが、キハ140形に変わってからは初めてです。吉松駅の跨線橋を渡り、えび茶色というかえんじ色というか、「はやとの風」に負けず劣らずのシブいカラーリングで出発を待っている「しんぺい2号」に乗り込みます。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113516.jpg 吉松からいよいよ矢岳越え。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113512.jpg 肥薩線の列車が肩を並べて。

 「しんぺい」は、言わずと知れた肥薩線矢岳越えをする観光普通列車九州新幹線開業に合わせて行われたダイヤ改正で「はやとの風」「九州横断特急」などとともに装いを新たに登場した列車です。このとき新登場した列車の統一コンセプトとも言うべきウッディな内装とシックな外観がゆっくりと落ち着いた旅を提供してくれるようです。車内は大きなテーブルやベンチ、カウンターなどがあり、日本三大車窓と言われる雄大な景色を眺めながら一時間ちょっとのショート・トリップが楽しめるというわけです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113521.jpg キハ140形「しんぺい」。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113525.jpg 旧型客車のような車内。

 吉松を出発した「しんぺい2号」の次の停車駅は真幸。「真の幸せを呼ぶ」というわけで人気の駅のホームには「幸せの鐘」があります。また、駅舎の軒先では地元の人たちが特産品や野菜などを並べて、停車時間を利用した郷土物産の購入ができるようになっています。

 「しんぺい2号」は真幸駅で方向を変え、本線方向へ戻って転向線に入り、再び進行方向を変えて上り勾配に挑みます。ちょうど真下に真幸駅のホームが見えるあたりに来ると、郷土物産を並べているおばさんたちがこちらに向かって大きく手を振ってくれているのが見えました。観光列車「しんぺい」のお約束のシーンなのでしょうけれど、地元のおばちゃんが笑顔で手を振りながら見送ってくれるのはなんだかうれしく、ほほえましいものです。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113532.jpg 真幸を出て勾配を上がる。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113535.jpg ▲おばちゃんが手を振ってくれるのがちょっとうれしかったりして。

 次の矢岳駅までの間が日本三大車窓矢岳トンネルの手前のあたりで列車は一時停車し、その雄大な景色をたっぷり見せてくれます。この日は天気は良かったものの地表近くにはかすみがちで、くっきりと晴れていれば桜島まで見渡せるという車窓の景色は、この日はどこかぼんやりとしていましたが、それでもとてもすばらしかったです。

 「しんぺい2号」は再びゆっくりと動き出しました。矢岳トンネルを抜けると、まもなく矢岳駅に到着します。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mainichigaharu/20190818/20190818113542.jpg日本三大車窓、残念ながらちょっとかすんでます。